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- No.528【単位面積当りの光の透過についてご質問のFuさん(2007.09.11)】
- 安藤 幸司 様
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- 突然のメールで失礼致します。
- A社のFuと申します。
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- 光学に関する知識が少ない私にとっては勉強できる場としてHPを活用させて頂いています。
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- 現在、業務で顕微鏡の対物レンズを使用した透過率計の検討を行っています。透過率計として必要な分解能を確保する為の受光素子に到達させる目標光量を受光素子の光電変換効率から算出したのですが、その目標を満たす為にはどれくらいの出力を持つ光源を用意したら良いのか判らず困っています。
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20倍の対物レンズを通る事によって生じる光量の減少率(受光面での照度/観察面での照度)が判れば、必要な光源出力が逆算できるのかと考えたのですが、その計算方法がわからない状況です。
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- 透過率計の測定系は添付ファイルのような構成で光源は下記3タイプを考えています。
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(a)LEDを元にしてレンズの組合せにより平行光にした光源
- (b)光源にLDモジュールをを使用
- (c)LEDを元にして、レンズにより集光を使用した光源
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- そこでよろしければ、下記4点の質問に対してアドバイスいただけないでしょうか?
- お忙しい所申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
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- 私の理解が不十分な為、質問自体がおかしなものになっているかもしれませんが、ご容赦下さい。
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- 質問内容1
- (b)の構成についてはHPの光と光の記録(光編)の「レーザ光の強さ」の式(Light48,49,50,52,53等)を参考にすると、以下2項目の積が観察面と受光面での照度(=単位面積当たりの光量?)減少率になるのだろうか?と思ったのですが、この認識で良いのでしょうか?
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1. 対物レンズでの像拡大による面積の増加の比率に応じた照度の減少率(1/400)
- 2. 対物レンズの光学系での吸収ロス(1/2と仮定)
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- 質問内容2
- 光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」のLens-14式により求められる観察面と受光面の明るさの比と、光編の「レーザ光の強さ」(式、Light48,49,50,52,53)を参考に計算した結果が異なるのですが、何故なのでしょうか?
- 扱っている光が平行光だとLens-14式は適用されないのでしょうか?
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- 質問内容3
- HPの光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」拝見した所、単位面積当たりの光量の減少率は入射する光の性質(レーザーのような平行光やLED等の拡散光)により計算方法が異なりそうな印象を受けましました。
- 今回考えているような光源(a),(c)について観察面と受光面での単位面積当たりの光量比を求める場合どのように計算したらよいのでしょうか?
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- 質問内容4
- Lens-14式を使う場合Rの反射係数は、どのように求めたらよいのでしょうか?
- また、結像係数Qは常に0.828で良いのでしょうか?うな質問をして申し訳ありませんがどうぞよろしくお願い致します。
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- →【安藤回答2007.09.17】
- 安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
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- >質問内容1
- >(b)の構成についてはHPの光と光の記録(光編)の「レーザ光の強さ」
- >の式(Light48,49,50,52,53等)を参考にすると、以下2項目の積が
- >観察面と受光面での照度(=単位面積当たりの光量?)減少率になるのだ
- ろうか?と思ったのですが、この認識で良いのでしょうか?
- >
- >1. 対物レンズでの像拡大による面積の増加の比率に応じた照度の減少率
- (1/400)
- >2. 対物レンズの光学系での吸収ロス(1/2と仮定)
- →
- (c)のレイアウトについて、以下の項目に従って各光学コンポーネント上を光がどのくらい透過していくかを算出していきます。
- 1. 半導体レーザの光出力
- 2. 半導体レーザが決められた放射角で放出する光の量(およそ60%から
- 80%か)
- 3. 半導体レーザの放射角度とコリメータレンズが受けられる口径でのロス
- (アパーチュアを含める)(およそ5%から20%か)
- 4. 試料上に入射される光量(3.と同じ程度か)
- 5. 試料で減衰する光量(およそ25%から50%か)
- 6. 顕微鏡の透過率(およそ60%から80%程度か)
- 7. 顕微鏡の拡大率 x20のレンズでは、光量は1/400倍(倍率の二乗)の
- 光量補正が必要
- 8. 顕微鏡レンズの開口率(N.A.)
- (N.A.が3.のコリメータレンズ光学系のN.A.よりも大きいときは考慮に
- 入れないが、小さいときは光源の光のすべてが入らないので考慮すべき)
- 9. 受光素子の受光感度
- これより、受光素子の受光感度(9.)から逆に遡って行って、必要な半導体レーザにどのくらいの出力(1.)が必要かを求めます。
- この考え方は、(a)のレイアウトでも(c)のレイアウトでも同じです。
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- >質問内容2
- >光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」のLens-14式により
- >求められる観察面と受光面の明るさの比と、光編の「レーザ光の強さ」
- >(式、Light48,49,50,52,53)を参考に計算した結果が異なるのですが、
- >何故なのでしょうか?
- >扱っている光が平行光だとLens-14式は適用されないのでしょうか?
- →
- ご指摘の通り、前者の式(式、Light48,49,50,52,53)は、平行光を扱った式で、後者の式(Lens-14)は一点から放射する光をレンズの口径でとらえ、像として再び一点として集める時のパワーを示しています。
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- 両者の違いは、放射される光を「平行光」とみなすか、四方八方に射出される「放射光」とみなすかによって書きあらわされたものです。
- 被写体から放射される光が平行の場合、Lens-14式は適用されません。
- Lens-14式は、物体光が四方八方に拡がる光に対してレンズ口径が頬張る放射角を吟味しています。
- 式、Light48,49,50,52,53には、レンズの口径(F値)に関する記述がありません。
- レーザの光束(ルーメン)をダイレクトに扱っています。
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- >質問内容3
- >HPの光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」拝見した所、
- >単位面積当たりの光量の減少率は入射する光の性質
- >(レーザーのような平行光やLED等の拡散光)により計算方法が異なり
- >そうな印象を受けましました。
- >今回考えているような光源(a),(c)について観察面と受光面での
- >単位面積当たりの光量比を求める場合どのように計算したらよいのでしょうか?
→
- 上の質問とも重複しますが、被写体からの光が光学系の口径に邪魔をするかしないかで計算方法がことなります。
- 被写体から広い角度で拡がった光は対物レンズではすべて拾いきれません。
- しかし、被写体からの光が平行光でレンズの口径がその平行光の束よりも大きければレンズの口径は無視してよくなります。
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- (a)のレイアウトでは被写体を0.5mm径の平行光が透過するので、顕微鏡の対物レンズの口径が0.5mm以上あれば平行光を無駄なく受光素子に送り込めるようです。(ただ被写体で平行光が散乱した場合はその分だけ加味する必要があります。)
- (c)の試料上に集光する光学系では、集光する光源の集光角度が対物レンズのN.Aよりも小さい必要があります。そうしないと、試料から放出される透過発散光がすべて顕微鏡レンズの口径内でとらえられなくなります。
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- >質問内容4
- >Lens-14式を使う場合Rの反射係数は、どのように求めたらよいのでしょうか?
- >また、結像係数Qは常に0.828で良いのでしょうか?
- →
- 結像係数は一般的なカメラレンズに対してのものです。
- 0.828というのは光学系の減衰率を加味したものでレンズ面の反射や吸収を意味しています。
- 顕微鏡レンズではどの程度かわかりません。0.8程度で良いだろうとは思います。
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- 以上、やぶにらみの回答かもしれませんが、わかる範囲でお答えいたしました。
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