☆訪問者からの声

過去帳 No.11(2008.09まで)

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●訪問者の声 (2006.08.09 〜 2008.09.24)


No.550【デジタルカメラと銀塩カメラの違いの質問をいただいた、天文写真をされているS.N.さん(2008.09.24)】
安藤幸司様
突然失礼します。
Anfo Worldを拝見致しまして大変勉強になりました。今後はバイブルとして活
用させていただきます。
私はこの方面を修めたものではないのですが、いくつかの疑問が解決しないま
までおりました。
もしよろしければ、お答えいただきたくお便りさせていたく次第です。
初心者の質問として受け止めていただければ幸いです。
質問1
CCDやCMOSのAD変換の際、電荷はどのような刻みでカウントされるのでしょうか?
それは各製品で異なるのでしょうか、それとも一定の取り決めがあるのでしょう
か?たとえば、16ビットのディプスを得るためのフルウェル性能を持ったCCDは
24ミクロン角の画素になるというような話を良く聞きます。
しかし、通常の冷却CCD等はどのような画素サイズでも16ビットAD変換が普通
ですし、最近のデジタルカメラは、5ミクロン大の画素で14ビットAD変換がトレ
ンドになってきています。
質問2
フォルム、つまり銀塩写真での潜像形成の過程(臭化銀が光を受けて臭素原子
を作り、銀イオンと電子を遊離すると言うところです)は、光電変換とはまっ
たく異なる現象なのでしょうか?
以上2点なのですが、お手すきの時にでもご回答いただけると本当に嬉しいです。
よろしくお願い致します。
→【安藤回答2008.09.24】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
>  質問1
>  CCDやCMOSのAD変換の際、電荷はどのような刻みでカウントされる
>  のでしょうか?
基本的には厳密な取り決めはなく各社マチマチのようです。
市場にでている固体撮像素子はたくさんあり、性能(画素サイズ、画素数)ももちろん、S/Nもまちまちなので、ノイズ成分を除去して信号成分をA/D変換するのはメーカ各社の裁量だと思っています
ただ、入射光量に対する出力ビットカウントを1:1(つまりtanθ=45°、γ = 1)とするのは、計測カメラでは常套です。
(テレビカメラではγ = 0.6〜0.7としているようです。)
従って2,000エレクトロンの電荷で飽和し500エレクトロンのダークカレントを持つ素子の場合は、1,500エレクトロンを8ビットなり10ビットなり、12ビットに階調化(A/D変換)することになります。どの階調でA/D変換するのかは自由です。
この場合、8ビットでは、5.859エレクトロンが256階調の1カウントになり、10ビットでは1.465エレクトロン、12ビットでは0.366エレクトロンとなります。1500エレクトロンの16ビット処理は、1エレクトロンにも満たない電荷を1カウントとすることになります。
階調の多いA/D変換では、素子の蓄える飽和電荷とダークカレントノイズ、転送ノイズなどを十分に吟味しないと、単なる数遊びになってしまいます。
ご指摘のように、16ビットAD変換とうたっているカメラは高性能のように見えるので、カタログではそのように記載してライバルと肩を並べたり競い合ったりしますが、実際のところは、飽和電荷の記載とダークカレントノイズ、転送ノイズ等のデータは把握しておくべきかと思います。冷却型で何度で冷却しているかも抑えておくポイントです。
16ビット処理だと1:65,000階調あるので、ダークカレント100エレクトロン以下、飽和電荷65,000エレクトロン程度は欲しい所です。
電子冷却も-40度程度は必要になるかもしれません。
このようなカメラはおいそれとはありません。
ダークノイズに埋もれていても、うっすらと画像が認識できるから高濃度ビット画像は有効である、という意見もあります。
それはそれで有効な見方と思います。
また、元の画像が悪くてもメッシュを細かくして(高画素、高濃度設定で)情報を取り込んでおけば、後で画像処理して良好な画像を作り出せるので、処理プロセッサの性能が許す限りメッシュを細かく(高画素、高濃度)しているように思います。
ちなみに、液晶モニタは8ビット階調しかないので、通常のパソコンでは10ビットや12ビット、16ビット画像を見ることはできません。
高濃度画像のうちの8ビット分をカットして表示させるか濃度を圧縮させて表示させています。
もしくは、画像処理ソフトを使ってラインプロファイルで(0 - 4096)の濃度表示で識別します。
インクジェットプリント画像がどの程度の階調があるかはわかりません。
10ビットは難しいと考えます。銀塩画像は10ビット程度まで再現します。
最近、インターネットのアマチュア天文家のサイトを賑わしているカメラに、キャノンのデジタル一眼レフカメラがあります。
10分の長時間露光ですばらしく綺麗な天体写真が撮れると紹介されています。
私自身、これを見てびっくりしています。
キャノンのデジタル一眼レフカメラはCCDではなくCMOSであり、しかも電子冷却タイプではありません。
それなのに、ダークノイズが全くないのです。
これが、カメラ内蔵の画像処理(グラフィックエンジン)によるものなのか、キャノンの開発したCMOS素子そのものであるかはわかりません。
これが、CMOS素子そのものの素質だとすると、冷却素子などは必要ないすばらしいものと言えます。
にわかに信じがたいので、気にとめて事に触れて調べようと思っています。
ただ、業界ではキャノンのCMOS素子の性能は一日の長があるようです。
>  質問2
>  フォルム、つまり銀塩写真での潜像形成の過程(臭化銀が光を受けて臭素
>  原子 を作り、銀イオンと電子を遊離すると言うところです)は、光電変換
>  とはまったく異なる現象なのでしょうか?
光電変換は、フォトダイオードに代表されるごとく、光エネルギーを電気エネルギーに変える働きを言います。
フォトダイオード自体に化学変化は見られません。
別の光電変換素子である光導電体では属性(電気抵抗)が変わります。
銀塩プロセスでは、ハロゲン化銀が光エネルギーによって遊離し、銀イオンがそのまま残ります。
銀イオンを化学処理して黒化銀に固定させるのがフィルム現像です。
このプロセスは光電変換と言えないのか、と言われると狭義ではそうかも知れませんが、電子を拾えないので(電気エネルギーを取り出せないので)一般的にはそう言われていません。
また、フォトダイオードは可逆的であるのに対し、銀塩プロセスは不可逆です。
可逆的というのは何度も同じプロセスを繰り返すことができるということで、不可逆というのは一度反応したら元に戻らないことを言います。
銀塩フィルムを光電面と見なして像を何度でも取り出せることができたら便利ですが、そうはできません。
フォトダイオードは、光を与えると電気を発生し、電気を与えると熱(光)エネルギーを発します。
以上ご参考までに。

No.549【レーザについて質問をいただいた、ドラマ制作のA.Y.さん(2008.09.19)】
安藤さま、
初めまして。
ドラマプロダクションのA.Y.と申します。
レーザー光線について調べていたら安藤さんのところまで辿り着きました。
この度12月に放送を予定している2時間ドラマにおいて、殺人トリックとしてレ
ーザー光線を用いるのですが、その上で専門に研究されている安藤さんにいくつ
かお伺い出来ればと思いましてご連絡しました。
簡単に内容を説明いたしますと、舞台は豪華客船の一室で起こる事件です。
仕掛けは、
●ある一定の大きさの音(もしくは言葉など)に反応して装置が動く
●装置からレーザー光線が発射され、吊ってあるシャンデリアの鎖を焼ききる
といったものを考えております。
が、犯人は一般人という設定で、
 1. 実際に一般人が入手出来る不自然でないレーザー装置(レーザーポインター
   とか医療用レーザーとか…)でそんなことは可能なのか?
 2. その小さなレーザーの威力を大きくするような簡単な仕掛けはないか?
  (シャンデリアを通してとか何らかの細工で…など</font>
 3. またレーザーに代わる何らかの光のトリックはないものか?
といった問題点があり、ぜひ安藤さんにお話、ご意見を伺いたい所存であります。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご協力いただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
→【安藤回答2008.09.19】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
>  1. 実際に一般人が入手出来る不自然でないレーザー装置
>  (レーザーポインターとか医療用レーザーとか…)で
>  そんなことは可能なのか?
レーザ溶接の分野では、厚い鉄を切断したり自動車の組立に板金加工などで
レーザ溶接が使われますが、これらはとても高価(1000万円〜5000万円)
で、しかも大きなものです。
一般人が購入できるレーザポインタは、虫メガネで集める太陽光よりも弱い
光エネルギーです。
したがって、これらのレーザでシャンデリアの鎖を切ることは不可能です。
虫メガネで太陽光を集めてシャンデリアの鎖が切れないのと同様です。
鎖は金属ですから、熱がどんどん逃げて溶けるまでの温度にはとうてい
上がりません。
金属を切断するレーザは、10kW程度の熱エネルギーを径1mm程度に集光
させています。
これは、2メートルほどのレンズで太陽光のエネルギーを径1mmに集める
のと同じものです。
実際にはレンズの収差と太陽の大きさから1mmに集めることはできない
ので、それよりも数倍のレンズが必要となります。
医療用で使うメスはYAGレーザと呼ばれる赤外レーザを使っていますが、
このレーザでも10W程度の出力です。これはレーザ溶接の1/300程度のも
のです。
ただこのレーザはピークエネルギーが高いので微小な部位の切断ができます。
これらのレーザはとても危険なので一般人が使用することを固く禁じています。
これらはクラス4と呼ばれるグレードのもので、一般人が使えるものは
クラス1です。
>   2. その小さなレーザーの威力を大きくするような簡単な仕掛けは
>     ないか?(シャンデリアを通してとか何らかの細工で…など)
それができれば、いろいろ悪用ができるというものでしょうが、現実は無理
です。世間一般では、レーザは殺人光線として認知されているようなので、
レーザポインタと銘打たず、単なるレーザとしてドラマで押し通せばよかろう
と思います。実際とは違っても目くじら立てるような問題ではないと思います
ので。ただ、レーザポインタとしてはダメです。レーザポインタの商品は厳しく
安全管理がなされていますので、それで危険なことができるように放送される
と、そうした団体からクレームがきます。
単なる小型レーザという設定にすればそれはそれでよかろうと思われます。
現在では100Wクラスの半導体レーザも手に入ります。
多くのドラマを見ていると、科学の目で突き詰めるとおかしなことがたくさん
ありますけれど、そのことにあまり目くじらを立てる科学者はいないようです。
エンターテイメントの範疇で考えれば許されることだと考えます。
>  ●ある一定の大きさの音(もしくは言葉など)に反応して装置が動く
こちらの方が科学的に立証されます。
ものには共振というものがあり、共振する振動数で揺られ続けると大きな構造物
が破壊するというものです。
米国の「タコマの落橋」は風によって橋が揺れ、それが共振の揺れであったため、
風で橋が崩れ落ちました。
飛行機でも翼の風切りが共振周波数だったため折れて墜落しています。
人間に聞こえないような数Hzの音を物体に与えて、物体にその周波数の共振が
あれば大きく揺れ始めます。
以上ご連絡します。お願いします。

No.548【レーザについてコメントをいただいた、M.O.さん(2008.09.18)】
レーザーのこと 詳しく説明されているのに感心しました。
他の項目も 読ませて頂きます。
ありがとうございました。
→【安藤回答2008.09.19】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
温かいメッセージありがたく思います。
これからも細々と続けてまいります。
なにか気のついた点がありましたらご連絡いただければと思います。
今後ともよろしくお願いします。

No.547【APEXの定義についてコメントをいただいた、T.T.さん(2008.08.27)】
Q110 の回答で「いずれにしてもまた詳しいことがわかったら更新します。」と書いておられますが、
正解は、フィルム感度の規定法が、ASA、ANSI、ISOへと移行する間に、フィルム感度の規定が若干変わったからです。
たとえば、リバーサルフィルムの感度は、Sを感度、Emを感度を規定する露光量とすると、
ISOでは S=10/Em なのですが、
ASAでは S=8/Em だったようです。
(保積英次:センシトメトリーの実際.共立出版、1970)
これで、10/8=1.25
すなわち、Iv=0の照度は 64.5lx×1.25≒80lx
の変更が必要になったと判断できます。
ちなみに入射式露出計の校正係数が250のときに、この照度と一致します。
この辺の経緯は、
http://homepage2.nifty.com/ttoyoshima/Camera/FilmExposure.htm
で、素人向けに述べてあります。
→【安藤回答2008.08.29】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
情報ありがとうございました。
大変助かります。
この情報をもとにして、アップデートをする予定です。
今後ともよろしくお願いします。
ありがとうございました。

No.546【簡単なライトシートの作り方についてご質問の大学生Y.S.さん(2008.08.18)】
安藤様
私は現在機械系の大学で研究をしている学生です。
専門は熱力学で、スターリング(作動ガス)エンジンというものを研究して
います。
スターリングエンジンとは空気の圧縮と膨張で動力を得るエンジンです。
そこで今回エンジンが動く際の空気(作動ガス)の流れがどのようになって
いるかを、観察することになりました。
そこで色々と調べたところ、レーザシートを使って空気の流れを測定する
のが1番いいのではとたどりつきました。
そこでひとつ問題になったのが、企業様が出している機器を買うには研究
費が足りないため、どうにか自作で作れないかと考えています。
すべて自作は無理だとは思います。
なのでできるだけ金額を抑えた方法をもしアドバイスしていただければ幸
いかと考えております。
空気の流れさえつかめればいいので、特別高い精度が必要というわけでも
ありません。
光学系にあまり知識がないためご迷惑かと思いますが、よろしくお願いします。
→【安藤回答2008.08.19】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ライトシートは扁平の光源を作ることが基本なので、ガラス棒を使って点光源の
前にこれを渡せば簡単なライトシートが作れます。
カマボコ状の円筒レンズをあつらえればもう少しましなライトシートができます。
液晶プロジェクタを使って白地の横棒の画像を投射すればライトシートになります。
(これは暗いですけど。)
高輝度LEDを一直線に並べて、その前に円筒レンズを渡せばライトシートになり
ます。(ライトシートが均一にならないですけど。)
レーザポインタとポリゴンミラーを使ってレーザをスキャンさせて光の幕を作り
ます。太陽光を導けば強いライトシートが得られます。
(晴れた日と刻々太陽の位置が変わるのでミラーガイドが必要です。)
これらは、とても簡単でいろんな問題がありますが、光源手法を自ら学ぶには最
初の一歩だと思います。
以上ご参考までに。

No.545【ホワイトバランスについてご質問の会社員M.S.さん(2008.08.16)】
以前に安藤様に何度か質問させていただき貴重なアドバイスをいただきました。
その節はありがとうございました。
恐縮ですが今回またご質問させていただきたいことがあります。
カメラのホワイトバランスについて疑問に思っていることがあります。
人はホワイトバランスを補正できるのに
なぜカメラでのホワイトバランスを補正するのでしょうか?
表示色に限界があるからなのでしょうか?
それとも周りの環境光との対比のせいでしょうか?正しい答えがよくわかりません。
私の見解が正しいものなのかをご教授願えればと思います。
---以下が私の見解です---
人は長い間、同じ色を見ているとその補色の感度が上がると認識しています。
陽が落ちた直後の屋外の空は青く、そこからマンションの明かりを見ると、
青が抑えられオレンジが強調されるかと思います。人の目はカメラのホワイト
バランスに似ていますが、違う点は、部位レベルでの補正が人には出来ること
だと思っています。
ホワイトバランスを無視した画像をパソコンで見ると、確かに違和感があります。
ホワイトバランスの件とは関係ないかもしれませんが、これと似た経験を実感した
ことがあります。
それは。蛍光等下の6500ケルビンのPCモニタの横に白い紙をおいてのぞき穴から
色と明るさを比べて、紙とモニタの白が同じ色と明るさに見えるような色を表示し
ました。のぞき穴から眼を離すと、モニタの表示色が暗いうえに黄色になり本当は
同じ明るさと、同じ色のはずなのに、同じに感じることが出来ませんでした。
眼がモニタに慣れすぎてしまっていたのかもしれません。
撮影にホワイトバランスが要らないかもしれない条件としては、真っ黒な壁で
覆われた中にディスプレイ、または、視界を覆いつくすくらいのディスプレイで
あれば、周りの環境光との違いの認識が不可能になり、画像自体にホワイトバラ
ンスが補正されていなくても、違和感なく鑑賞できるのかと思っております。
また、ホワイトバランスを無視して撮影した、白熱灯下の画像(かなりオレンジ
色)を同じ環境下のディスプレイでみれば違和感がないはずだとも思っていまし
たが、実際は違和感があります。これは、PCで写真以外の表示物が対比されてし
まうことが原因だとも思っています。
根本的な問題として、ホワイトバランスを補正しないと、モニタが使用できる色の
レンジは小さくなる可能性はあるとは思いますが、それを除いたとしてなぜカメラの
ホワイトバランスが必要なのか答えがわかりません。
長文でご迷惑をおかけしました。
お時間のあるときにアドバイスしていただけると幸いです。
→【安藤回答2008.08.19】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
私もご質問と同じようなことを考えたことがあります。
以下が私の考えです。
ご参考になれば幸いです。
> 人はホワイトバランスを補正できるのになぜカメラでのホワイトバランス
>  を補正するのでしょうか?
人間の大脳に、視神経から得られる視覚情報を補正するホワイトバランス機能が備わっているからだと解釈しています。
フィルム感光剤や撮像素子は、そうした判断がなく、波長感度特性に従って正直に感光するため、ヒトのように白熱電球を白っぽく見ようとする過程がありません。
ヒトは、絶対的な色判断は出来ないけれど、比較判断はとても鋭敏です。
同じ赤でも、双方を比べて見ればその違い一目瞭然に識別します。
Aという蛍光灯とBという蛍光灯を灯したとき、ヒトはわずかでもその色あいの違いやそれらの蛍光灯が映し出す物体の色合いの違いを見比べ、その違いを見分けることができます。
けれど、白熱電球の下でも蛍光灯の下でも慣れるとそんなに違和感なく色合いを受け入れてしまいます。
ヒトはその意味ではたいそういい加減です。
嗅覚でも自分の体臭は気にならないのに、自分と違う体臭はとても敏感に反応します。
しかし、それもすぐ慣れてしまいます。
味覚に関しても、同じものを食べ続けると感覚がわからなくなります。舌の上で転がしたり、ゴハンを食べたり、漬け物などで舌の感覚をリフレッシュさせることをして味覚と食欲を満たしています。
こうした人間の特性は、小さい頃からの経験とか学習で培ってきたか、もしくは先祖が獲得して来た本能を受け継いでいるように思えてなりません。
テレビモニタや写真画像を見たときに、ホワイトバランスがとれてない画像に違和感を覚えるのは、人間の脳が記憶している光景と色ガラスを通して見たような写真画像では明らかに発色が違っているとと認識するからだと考えます。
人間の大脳が記憶している色合いに画像が合致しないと、脳が違和感を覚えるからです。
それがカメラなどのホワイトバランス処理だと考えています。
私はオーロラというものを実際に見たことがありません。テレビや写真でしか見たことがありません。
おそらく、わたしのようなものにはホワイトバランスをとらないカメラでオーロラを撮ってそれを見たとしても、なんら違和感を感じないでしょう。
テレビモニタやカメラがホワイトバランスを取るのは、人間に違和感なく見てもらいたいからです。
人間が経験している現実の色合いを画像でも似せて出さなければならないのでそうしているのだと思います。
学術研究用のフォトマル(光を電気に換える素子)やフォトダイオードの光検出はホワイトバランスはとりません。ブラックレベルやノイズレベルはとりますが、ことさらホワイトバランスはとりません。波長感度特性さえわかっていれば計測目的としてそれで十分だからです。
以上ご参考までに。

No.544【材料の識別についてご質問の会社員K.W.さん(2008.08.01)】
大変興味深く資料を拝読させていただいています。
材料置き場の鋼材料を混入させた場合に見るシートは有りますが表面を見ると同じなのでどれがどの材料か区分けができなくなる場合が有ります。
材質A・材料Bと材料Cを見分ける簡単な方法は有りますか?
その装置メーカーがあれば教授下さい。
よろしくお願いいたします。
→【安藤回答2008.08.01】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
残念ながら、私の知識では鋼材の識別する手法や装置を知り得ません。
鋼材の持つ光の反射特性(金とか銀、銅などは波長反射特性が違います)を
利用して、対象物に紫外線や、特殊な光を当てて反射特性を調べれば特定で
きるのかも知れません
が、私は詳しくありません。サビや表面の特性でサンプルはその都度変わるので、
さらに識別は難しくなるかも知れません。
私の知りうることはこの程度です。
お役に立てず申し訳なく思います。
今後ともよろしくお願いします。

No.543【ズームレンズの原理についてご質問の会社員B.B.さん(2008.06.21)】
はじめまして、検索してたどり着きいつかゆっくり読もうと思っているうちに
拡張されていや立派なアーカイブであるなと感心しきりであります。しかしな
がらトピックスとしてあるレンズの歴史などについては大いに感銘するのですが、
専門的なところはあまりわからずにおります、自分の頭の悪さにため息が出ます。
よろしければ下記の件お教えください。
 
質問はカメラのズームレンズはどうやって焦点距離を変えているのか?と言うこ
とです。
想像するに凸レンズと焦点の間に凹レンズを介在させ位置関係によって変えてい
るのではないかと思うのですが、焦点距離をめがねの度数に置き換えてしまうと
ジオプターの足し算引き算では位置関係は影響せず、焦点距離の変化にはならな
いような気もします。
あるいは全く違うのかもしれません。
宜しくお願いします。
→【安藤回答2008.06.22】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
当方の運営能力から、トピックをあまりうまくまとめられずに検索が
難しくなっていて申し訳なく思っています。
ズームレンズの基本原理は、凸レンズ+凸レンズ、
もしくは凸レンズ+凹レンズの2レンズ間の距離を変化させることで
合成焦点距離を変えています。市販されているレンズは、もちろん単純
なものではありませんが、基本原理はこれに帰結します。
詳細は、以下の項目を参照下さい。
 ■ 二枚のレンズを使った場合の結像の関係(ズームレンズの基礎)

No.542【二重容器の外側からの見え方についてご質問の会社員N.K.さん(2008.06.18)】
包装関係の会社に勤めています。
早速ですが、肉厚の透明なクリーム容器の内側に別な不透明な容器を入れた場合、
外側からみて内側と外側の容器が接していると外側の透明な部分が見えず全体的
に不透明に見え中間に空気層でもあると肉厚の透明な部分が見える原理が解れば
教えて下さい。
宜しくお願い致します。
→【安藤回答2008.06.22】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
屈折率の問題だと思うのですが、文章からではいまいちこちらの理解が
できません。
写真などをお送り下さると、ご質問の意味がより深くわかると思います。
光の当て方によっても透明体が見えたり見えなかったりするので、その
当たりも教えていただけると助かります。
回答にならず申し訳ありません。

No.541【照明エンジニアY.T.さんからのコメント(2008.05.19)】
安藤幸司様
 初めまして。
僕は撮影照明にかかわって30年近く照明を担当しています。
体力がいる仕事と眼を酷使してきたのでそろそろ現場を離れようかと。
今、54歳です。
「光と光の記録」は2年前くらいに聞いていますが、僕のMacでは文字化けがひどく、最近Mac OSを入れ替えたら、さらにいろいろとトラブルが続きました。
サイトも直せなくなり、この際新しいサイトに移行かと。
そんな時に「光と光の記録」が読めるようになりました。
しかし、「光と光の記録」は、僕では難しいです。ですが丁寧に分かりやすく書いてあると思います。
僕がもう少し努力すればいいのかとも思います。
面白いので深みにはまってしまいそうですが、そこまで今の照明部が理解する必要は?と疑問を持ってしまいます。
現状は、その前の段階です。
僕の説明でも難しいと、僕の元から卒業していく者も多く、新しい撮影方法の問い合わせに対しても、メールができる余裕がある時はデーターを送れるのですが、話していると「光度」と言っても「高度」になってしまい、照度の話からルックスをEvって話してるとEVになってしまい、照度は撮影絞りのことかとなってしまい、最近はライトバリューと言ってます。
 
Kino-Flo (VistaBeam 600)は「光と光の記録」の記述とは違い、良くなってます。
Kino-FloがDMX対応のものは良くなってます。
その時に同時に行った、DCパワーユニットを使用してのタングステンライト のテストは良好でした。
DCに変換して蛍光灯も出来ないかと、セット撮影で蛍光灯を東芝インバーターに変更したところ、B&S flicker analyzer で3% HMI flicker free バラストに近くなっていました。
何年か前に計測した時とは違います。
Kino-Floはカメラレンタル会社がフィルムテストをしていてそのデーターがまだ信用されてます。Kino-Floは、使いたい時に使えないライトになってます。
 
長くなりました。
メガケルビン表示をされたフィルターなど僕も理解できないことがたくさんあります。
「光と光の記録」をよく読みます。
 
今後ともよろしくお願いします。
 
僕もマウンテンバイクに乗ってます。
LOUISGARNEAUを(お店が近いのが最大の理由)若い頃はギヤのメカニズムが好きでイタリアのものに乗ってましたが、西洋毛針釣りFLYもやるので、外遊びは釣りが多いです。
ラインを改造したりと楽しんでいます。
リールのメカも好きです。
ロッドのデータを見るのも好きです。でも釣りに山に入るのが一番好きです。30mザイルを担いで南アルプスに今年も行こうかと、湧き水で飲むコーヒーも好きです。
→【安藤回答2008.05.20】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
プロの照明の方が、ご利用いただいていることに対し身の引き締まる思いです。ありがとうございます。
私自身、何もわからないまま、カメラ業界に入り30年が経とうとしています。
私の携わった仕事は、主に学術研究用の計測カメラの技術サポートをしていましたから、映画カメラはほとんど携わっていません。
今後ともご指導いただければ幸いです。

No.540【「光と光の記録」書籍を購入のK.M.さん(2008.04.26)】
初めまして。AnfoWorldにサーチ・エンジン経由で辿り着いた者です。
 
映像関連の仕事をしております。
輝度と照度の関係やレンズのF値、焦点距離等についてWebを検索するうちに、度々AnfoWorldに辿り着き、訪れる度にその内容の豊かさや優れた記述に感銘を受け、一言お礼を申し上げたく突然ながらE-MAILを送らせて頂いた次第です。
 
また同内容の書籍を出版されている事にも関わらず、Web上にも無償で公開されている姿勢にとても感銘を受け、光と光の記録[光編]の書籍の方も購入させていただきました。
こうした専門書は内容が深い物ほど読み難いと覚悟していますが、その認識が良い意味で覆されました。[光編]その2の方も続けて購入させていただきたいと思います。
 
これからもこの素晴らしいサイトが末永く存続、発展される事を願って止みません。
→【安藤回答2008.04.26】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご丁寧にご連絡いただき、心より感謝申し上げます。
光の世界に関わって30年あまりたちます。
私自信が得てきた知見を光に関わっておられる方々の参考にしてもらえればと思い、細々と続けています。
 
今後とも末永くご愛顧いただければ幸いです。
 
ありがとうございました。

No.539【音波の可視化ついてご質問のK大学S.T.さん(2008.04.16)】
K大学のS.T.と申します。
 
インターネットのページを拝見して、不躾な質問をさせていただきます。
スピーカから発せられる音波の振動を撮られることは可能でしょうか。
実際にやられたことはありますか。
空気中を伝わる音波は通常縦波と言われていますが、可視化出来ますか。
スピーカによっては横波を発生させることは出来るのではと考えているのですが、証明するにはシュリーレン撮影のような装置が必要かと思います。
 
お分かりでしたらご教授ください。
→【安藤回答2008.04.17】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
通常の音をシュリーレンで可視化したことはありません。
ほとんどの場合、衝撃波による可視化で使われています。
シュリーレン撮影では、気体の密度差を濃淡像として可視化させますので、密度差がないものは可視化できません。
通常の音は、気体の密度差がほとんどないので、可視化は難しいようです。
笛などでは音の出るところの気流の流れをシュリーレンで可視化した画像を見たことがありますが、これは人の吐く息と外気の温度の違いが可視化されていたので、音波そのものではなかったような気がします。
爆発とか火花放電、、サイレンなどの風切り音、高速流体での衝撃波は、かなり顕著にシュリーレンで可視化できます。
衝撃波は進行方向に粗密波ができて伝搬するので縦波であることが理解できます。
 
以上ご参考までに。

No.538【照度と輝度についてご質問のF.M.さん(2008.03.31)】
安藤幸司様
 
イメージセンサ評価をしている、F.M.と申します。
AnfoWorldは仕事上必要な知識の勉強のために、よく利用させて頂いております。
訪問する度に質の高い情報が増えており、毎回関心しております(というより、限りなく感動に近い・・・)。
 
さて、質問です。
イメージセンサはご存知のように、極度に強い光に対してはブルーミング・スミア等の問題が発生する場合があります。評価の折り、通常目的で使用するにあたり(デジカメ・携帯用途)理論的かつ実用的にどのくらいの強い光が入射し得るのか、議論になります。
 
通常撮像時に一番問題になるのは太陽の実写時です。
この値の下記のように計算しましたが、実感と大きく異なり、全く自信がありません。
なにがおかしいのか、ご教授いただけたら幸いです。
 
【計算】
太陽輝度: 1.87E9 cd/m2
    (この数値は、大気圏外の実測値なのでしょうか?)
レンズを通しての像面照度は、式1に従う。レンズF値をF2とし、
  Ec=B * pi * Q/(4 * F^2) .... 式1
   = 1.87E9 * pi * 0.828 /(4 * 2^2)
   = 3.04E8 [lx]
 
大気によって40%減ると仮定しても、
   1.82E8 [lx]

実感として、とてつもなく大きな数値の気がします。そもそも、太陽輝度というものが、測光量として輝度を指しているのか、疑問に思えてきました。
また、太陽光度からの地表の照度の計算値は、
   1.72E5 [lx] (安藤さんの計算値より)
1000倍の違いが、レンズによる集光と理解していいのか、はなはだ疑問です。

お忙しいところ恐縮ですが、ご回答いただけましたら幸いです。
→【安藤回答2008.03.23】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
ご指摘の両者の値について説明します。
 
--------------
>  大気のよって40%減ると仮定しても、
>  1.82E8 [lx]
>  1.72E5 [lx] (安藤さんの計算値より)
--------------
 
1.82E8 [lx]の値は、レンズが像面にできる太陽光像の像照度です。太陽を直接撮影することになります。
このような撮影はほとんどないと思います。
1.72E5 [lx]は、太陽が地上に照射している光線の照度です。これは一般的に屋外で人物撮影したり、風景を撮るときの明るさです。

1.82E8 [lx]の値は、例えば、虫メガネ(レンズ)を使って太陽を一点に集光させたときの像の照度であり、
  1.72E5 [lx]は、太陽光が、大地を照らす明るさです。
日本では、夏至の時期乾燥した海辺で150,000ルクスの明るさが得られます。
冬場では80,000〜100,000ルクスが最高となります。

虫メガネで集光して得られる太陽光像は、自然界の山や川や地面を照らす光よりも遙かに明るく輝いていることは想像できると思います。
虫メガネを太陽にかざして目で覗いたら、失明するでしょう。
CCDカメラでもヘタをすると撮像素子が損傷してしまう明るさです。
その失明をも起こしかねない明るさが、1.82E8 [lx](1.8億ルクス)なのです。通常の照度の1000倍以上です。
太陽光そのものを撮影するときは、ND400などのフィルタをかけ、なおかつ絞りも深く絞って露出時間も短くするので、通常の青天時の撮影に較べて1/1,000倍程度の光量を制限して撮影しています。
 
以上ご参考までに。

No.537【照度と輝度についてご質問のM.S.さん(2008.03.19)】
安藤幸司 様

M.S.と申します。現在ゲームのグラフィックを担当しています。

以前に空のライトについて解答をいただきありがとうございました。
考えても良くわからないことがあるので安藤先生にまた質問させていただきたく思います。

照度と輝度の関係なのですがこの計算式は空のような大きな光源でも当てはまるのでしょうか

 B = K x E / π    ・・・・(Light5)
 B:輝度(cd/m 2 )
 K:物体の反射係数、黒いほど値が低い、100%反射は1.0
 E:照度(ルクス)
 π:円周率(3.14159)

一方向から入射した光束が完全拡散板によって四方八方に散らばるので目に入ってくる光は1/πの明るさになるのはなんとなく理解できるのですが(なぜ1/πなのかは判りませんが)、空のような四方八方から入射する光束に対して完全拡散板によって四方八方に拡散する真っ白な紙でもこのような関係が成り立つのでしょうか?

空も紙もほとんど同じ明るさに見えるので B = K x E / π という関係式は成り立たないのかと思います。
私の認識が良くないところがあるのでしょうか。勉強不足で申し訳ありません。

最近ゲームグラフィックにおいても光の知識が必要なことを痛感し苦しいですが楽しくもあります。
→【安藤回答2008.03.23】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご連絡遅れまして申し訳ありません。
 
照度と輝度は悩む所ですよね。
ご質問の件は、空を光源としたときに空から散乱して地上に照射する
光によって得られる地上の照度と空の輝度の関係を知りたい、という
ことだろうと理解します。
青空は太陽光で散乱した光なので、一種の照明板のようなものです。
地上で完全拡散板(反射率18%)をおいて天空からの光を受けたときの
受光光束は、天空の任意の点から四方八方に放射される光束と同じになり、
  B = E
となります。
 
  B = K x E / π    ・・・・(Light5)
の式には、πとKが加味されていますが、これは、天空の一点の明るさ(B)
そのものを照度に変えたときの換算値で、面積成分のπと反射率のKが加味
されます。
天空全体から集まる光による照度は、全体(π)が積分されるのでπがなく
なります。
 
簡単に述べるとこのようになります。
実際は、空は一様に光ってませんし、地平線から下は光がない(空がない)
ので、厳密には上のようにはなりませんが、おおよその参考になります。
空は結構明るくて、曇り空などの時には、地上の白い紙と曇り空の明るさ
が同じようになっていることも頷けます。
 
以上参考までに。

No.536【スーパーアビオゴンについてコメントを寄せていただいたH.N.さん(2008.02.13)】
安藤幸司 様

はじめまして、H.N.です。写真を趣味にしています、その昔スーパー・アビオゴン焦点距離3 1/2イ ンチ(f88.9mm)の航空カメラで遺跡の写真を撮ったことがあります。とにかく解像度ならびに歪曲収差のすぐれたレンズで感動した記憶が残っています。
最近はデジカメが主流になっていますが、やはりリバーサルのフィルムで撮る画像は素晴らしい感動を与えてくれます。

私自身は既に現役を引退しています、スピグラにSuper Aviogon 44mm F5.6 とviogon75mm F5.6の2本のベルテレが設計した航空撮影用レンズで4×5判をカバーしていますが、8×10でスーパー・アビオゴンで撮影してみることが出来たらと感じています。もし、実物が拝見できるような情報などがありましたら僭越ながら教えていただければと立ち寄らせていただきました。

8×10のビューカメラでスーパー・アビオゴンの撮影ができればと探してみましたが、殆ど情報もなく安藤 様のコンテンツ以外に見つけることは出来ませんでした。
内容を拝見すれば多岐にわたり「画像の科学的なアプローチ」の素晴らしさを勉強させていただきました。
心から感謝すると共に今後のご活躍を期待しています。
→【安藤回答2008.02.14】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

残念ながら、当方ではアビオゴンのレンズを持ち合わせていません。
昔、航空写真に少しばかりかじっていた程度でここ20年間はその方面のことはやっていません。
インターネットで調べますと、1、2のサイトで中古品を扱っているようなことが書かれていました。
8x10用であるかは定かでありません。

あまりお役に立てなくて申し訳ありません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

No.535【スリット光についてご質問のK高専のJ.K.先生(2008.01.22)】
安藤幸司様
 
初めてメールさせていただきます。貴殿のHPは以前から拝見させていただき光や高速度カメラに関するわかりやすい解説で勉強させていただいております。
 私はK高専のJ.K.小杉と申します。流体工学が専門で主に風洞を使用した実験を行っております。その一環として煙の拡散現象を調べており、最近可視化計測からデータを抽出することを試みております。可視化では一眼レフタイプのデジタルカメラを使用し、フラッシュを流用したスリット光で煙の流れ方向断面を撮影し、その輝度情報から濃度特性などを調べております。
そこで、こういった撮影と得られる情報に関しまして経験と知識が豊富な安藤さんに質問がありメールさせていただきました。
・質問1:
 撮影では実験室内を暗室状態にしてカメラのシャッターを解放後、フラッシュを 約1/2000秒で発光しています。このとき、輝度と濃度の間にリニアリティが成り立つのかを調べる方法として、多階調(0〜255)のグレースケールを 撮影し、輝度との関係を調べることが頭に浮かびますが、実際問題として真っ黒なものから真っ白なものまで写すことが可能なのでしょうか? また、このような方法以外に検定(輝度と濃度の関係)する良いやり方はあるのでしょうか?
・質問2:
 1の質問とかぶりますが、経験的には煙の薄い部分、すなわち写りにくい部分ですが 輝度が小さくなればなるほど濃度との関係は非線形になる感じがするのですがそういうものなのでしょうか?

突然、勝手な質問をお送りいたしましたが、ご都合の良いときにでもご回答・アドバイスいただければ幸いに存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
→【安藤回答2008.01.23】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

>・質問1:

一般のCCDカメラは8ビット濃度を持っているので理論的には256階調を表現できるはずです。
宇宙で使う計測CCDは16ビット(65,000階調)あります。このカメラで星の光度を測定しています。
精度が不安定なCCDカメラは使いません。
階調を調べるには、グレーチャートを用いたり、照度の安定した照明下(連続光源)で、白色の均一対象物を露出時間を変えながら撮影してフォトショップか計測用ソフトウェア(Image Pro PlusかImage-J、もしくはフォトショップ)で濃度を求めます。
カメラの露出機構はあまり正確ではありませんが傾向はつかめます。
また、露出時間と被写体の輝度を一定にしてレンズ絞りをかえて濃度を計測することもできます。
   F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22
という設定では、倍々に暗くなって行きますから、F2とF22では256分の1の光量比になります。
最近のデジタルカメラレンズは絞りのないものもあるので、そうしたものは使えません。

また、市販のフラッシュは濃度を計測する時の光源としては適性でありません。
ストロボは、AUTOモードでは被写体に照射する光量を自らのセンサーで検知して光量を止めてしまいます。
AUTOの際の光量バラツキは50%以上になります。
工業用のストロボ光源のほうがまだバラツキはすくないものの5%程度はあります。
検定用の光源は、定常光源(できたら直流点灯光源)を使うのが普通です。
光量が一定の輝度箱も市販されています。

>・質問2:

計測用CCDカメラは、対象物の輝度と像の濃度関係は線形です。
計測CCDカメラの場合、フォトン(光子)数に比例してダイオードで電荷(エレクトロン)が発生します。
ノイズを抑えて、リニアリティのよいカメラが計測用カメラに求められる要素です。
わたしの経験した中では、Q-Imaging社の冷却CCDカメラが安価で精度の良いものでした。
方や、一般のデジカメは(高級一眼レフでさえ)計測用を目的としていないので、きれいに見せることに終始しており計測用として使うには注意が必要です。
人間の感覚に合うように濃度階調(ガンマ)を換えたり対数濃度にしてあるものもあるからです。
計測用でないCCDカメラは観察用、記録用と割り切るか、徹底的に特性を調べてお使いになることをお奨めします。

以上ご参考まで。

No.534【パソコンの歴史の記述で誤記をご指摘のFuさん(2007.12.01)】
安藤様

福田といいます

パソコン史として参考にさせて頂いています。
「ジャストシステム アスキーへの問い合わせ」の項でちょっと気になった件

当時、アスキーマイクロソフトの副社長であった古河亨(ふるかわとおる)は、社長 西和彦(にしかずひこ)の指示でGUIで動く日本語ワープ…‥

は先ず、古河がその後は全て直っていますが、ここだけ字が違っているのとマイクロソフトの古川は古川享(ふるかわすすむ)で古川亨(とおる)ではありません。
 
よけいなことかも知れませんが一応…
→【安藤回答2007.12.03】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

ご指摘、心より感謝申し上げます。
早速訂正してホームページをアップしておきました。
至らない点が多々あると思いますが、細々と続けています。
今後もご指摘いただきご愛顧願えれば幸いです。

ありがとうございました。

No.533【英語のサイトでの不適切な記述に対する訂正要求のC.I.さん(2007.11.25)】
はじめまして

検索エンジンから英語関係の資料を求めて貴サイトにたどり着き、大変興味深く拝見させていただきました、C.I.と申します。
私も英語学習を続けており、貴殿の経験を基にした情報提供は学習者に大変有意義であると思います。

ただ1点、どうしてもお話したくメールいたしましたしだいです。

「 母国語(日本語)で何不自由なく暮らしている者にとっての英語で話さなくてはならない環境は、手足を失った身体障害者のようなもので不自由この上ない。思っていること、言いたいことのこれっぽっちも口に出せない。また、向こうの言っている話の1割も聞き取れない。
 そんな私が、自らを言語に障害を持った者と見なして、10才より英語にアプローチしてきた話をしてみようと思う。 」

私自身、障害者であり、私の知人にも障害を持っている人が大勢います。日本での生活は不便であり、時には困難にぶつかることもありますが、何も出来ない存在ではありません。
貴殿にそのような意図はなく、ただ英語が理解できないことに対するメタファであることは十分理解できますが、障害を持っている人の中には不快に思う方もいらっしゃることでしょう。

貴殿はアメリカのような多文化社会での経験が多数おありと思いますので、そのような社会がいかに「政治的に公平な」表現に敏感であるかを既にご存知であると思います。
直ちに修正を求めるものではありませんが、是非一度ご一考くだされば幸いです。
貴殿が理解ある方であることを切に望みます。
→【安藤回答2007.11.25】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

ご指摘の件、当方の配慮の無さで不愉快な思いをさせ深く反省します。
申し訳ありませんでした。
問題の文章を書き改めてアップしておきました。
私自身も人の何気ない言動に傷つくことはあり、その意味で私の言葉が逆
の立場にあったことを知らされました。
大いに反省しています。

今後もお気づきの点がありましたらご指摘いただければと思います。
改めて、ご意見いただいたこと反省し感謝いたします。

No.532【1フォトンの明るさについてご質問のM.U.さん(2007.11.09)】
何気なくAnfoWorldのホームページを発見し、その圧倒的な内容の深さと広さに、非常に感激しております。

二点ばかり質問させてください。

人間が光を感ずることのできる最小照度が10e-7 lx 程度であり、
フォトンを検知できる感度を持っている、と有りました。
光子一個のエネルギーは E=hv で定義されているということから、
波長や観察時間、面積、反射率などにある仮定を加えれば、
フォトン一個を観察したときの、おおよその明るさが
計算できるのではないかと思います。
しかし、その結果が、照度10e-7 lx と程遠い値になってしまいます。
フォトン1個の明るさを求めることはできないのでしょうか?

もう一点、人の目の明るさ感度に対する最小分解能は、
明らかになっているのしょうか。様々な条件を仮定しないといけない
かとは思いますが、最小視感度の照度と、それよりほんの少し明るい光と
弁別できる明るさの差、照度の差はどれほどのものと考えればよいで
しょうか。

お手数ですが、よろしくご指導の程、お願いいたします。
→【安藤回答2007.11.10】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

フォトン1個の明るさはどのくらいかというご質問について、わたしの知りうることを述べます。
フォトン一個の明るさは理論的に求めることができます。
人の目に感じるフォトンは、可視光に限られるので、可視光のフォトンに関してフォトンエネルギー(hν)を比視感度考慮すれば光束が求まります。
フォトン1個の発光時間がどのくらいかは私自身よくわかりません。
例えば、フォトンが1フェムト秒程度の発光であったとしたとき、はたしてそのフォトンが視神経に刺激を与えうるかはよくわかりません。
また、フォトンは1個だけ永遠に存在し続けているわけではなく、消滅と発生を繰り返し、なおかつ不確定の中で存在しているようです。
したがって、フォトンが少ないときは、そのフォトンの揺らぎのためにショットノイズという不確定フォトンが発生したり消滅したりしています。フォトンがたくさんある時(例えば1ルクス程度)では、ショットノイズはまったく問題にならないノイズレベルなのですが、それよりももっと暗い場合、フォトンが少ない場合は無視できなくなります。
フォトンは一定の集まりがないと認識できないようです。
雨粒と一緒で1粒だけでは雨と感じないけど、ポツポツと降ってくると、雨かなと感じるのと似てる気がします。

人の明るさに対する最小照度に対する研究はなされているはずですが、私自身はこの方面にあまり詳しくありません。
1、2の書物を読んで得た知識と自身の体験を通して人が感じる最小照度をホームページで述べています。
しかし、この尺度は絶対的なものではなく人によって違うでしょう。
現代人よりも古代の人の方が夜目が利いたであろうことは想像できます。
一般的には、星空のもとでなんとか物体をおぼろげながら認識できるというのが人の明るさに対する検知限界ではないでしょうか。
生理工学の世界では、人の目を詳しく研究されていると思います。

以上ご参考までに。

No.531【高速印刷機の不具合解明の画像解析についてご質問のU.T.さん(2007.09.21)】
はじめまして。
本日貴方のホームページ拝見いたしました。
また経歴も拝見しました。
すごい経歴をと知識をお持ちであることも認識しました。
すべてを見たわけではないのですが、今後私のかかわる業務にも関連すると思われますので、もう少し拝見させてもらいます。そして差し支えなければ少し教えてほしいことがあります。

現在、グラビア印刷機製造会社において技術開発の顧問として勤務しています。その中で私が経営者から指示を受けた業務は高速度カメラの調査でした。
精密機械の設計は45年の歴史(長いだけです)ありますが、高速度カメラの経験は一切ありません。でも齢の割には好奇心旺盛で二つ返事でやることにしました。
がしかし、どこから入っていくのかもわからないまま、インターネットで検索した高速 カメラメーカーの資料を見たり、参考書を見たりしていますが、いまひとつわかりません。

そこで教えてほしいのですが、どのような方式、カメラ等々がよいのか、参考になる図書文献は、どんなものがあるのか等等教えてください。

カメラを適用する機材、場所は以下です

 *製造しているカラー印刷機の色合せに使う。
 *高速で流れる印刷物のレジスターマークの検出を行い、位置違いがあれば
 *フィードバックをかけ位置修正をリアルタイムで行う。
 *印刷物のスキャン速度は100m〜200m/分
 *レジスターマークの位置制度は1/1000mmです

まだ上記以外ははっきりした要求仕様が御座いませんが何かコメントがあったら教えてください。
初めての連絡でまことに厚かましいですが、いいお返事を期待しております。
→【安藤回答2007.09.23】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。

高速度カメラの文献というのは、あまりまとめられていないようです。
手前味噌ですが、わたしのホームページが一番まとまっているかと思います。
高速度カメラのメーカーは、古くは1、2社や少数の大学研究機関しか手がけていなかったので計測分野としてしっかりとした文献や図書は整備されていません。

印刷機械と高速度カメラの応用は、比較的多くあり機械のメカニズムの動きを2,000コマ/秒から5,000コマ/秒で撮影しているケースを多く見てきました。
この分野での撮影観察は、
  ・輪転機の回転挙動
  ・アイドラーなどの補機類の挙動とタイミング
  ・紙の送りタイミング
  ・インクの吸着
などです。

印刷のカラーレジ合わせは、現場作業となるので、多くの場合ストロボを使ってタイミング発光させて位置ズレを目視、もしくは一般のビデオカメラでモニタして確認していました。
高速輪転機は高速で回転するので高速度カメラを使ってレジ位置を確認することは現場レベルではあまり行われていないと思います。
理由は、高速度カメラでは一旦撮影した画像を再び再生しなければならないので、レジ合わせなどの目的には、通常のカメラとストロボを使ってモニタで見ながら調整した方がてっとり早いからです。
使用しているストロボは通常10us程度の発光時間があるものを使っていました。
1usの短いものは発光光量が少ないので視認性やカメラでの撮影が難しくあまり使われていません。

ストロボの発光が20usで、これを使って高速で移動する物体を見たとき、例えば200m/分で移動するものは66.7umの移動量となります。
人の目は、70um程度が分解できる最大の値なので、従来、目視観察での利用ではこの程度の観察を行っていました。


■ 1um精度の観察
 1um単位の計測精度を要求する画像計測は大変シビアで、現場レベルで構築するのは極めて厳しいと言わねばなりません。
1um単位の計測精度は計測環境の整った光学定盤の上に計測装置を揃えて、顕微鏡などを使って被写体にレンズを近づけて拡大撮影する必要があります。高速輪転機ではレンズをそんなに近づけられないと考えます。
■ CCDカメラ
 現在のCCDカメラは1画素6um程度(感度の高い高速度カメラは25um程度)です。1画素以上の分解能はありませんので、レンズで拡大して1画素の分解能を光学的に上げてやる必要があります。さらにカラーCCDカメラは、一般的に単板のものを使っていて素子の上に配置されたカラーマトリクスのフィルタによって3画素x3画素(9画素)を集めてカラー情報を得ています。これがカラー撮影での解像力の劣化につながっています。マトリクスフィルタを用いない高級なカメラでは3枚の素子を使った3CCDカメラが使われていますが、このカメラでも3つのCCD素子のレジ合わせを行わなければならないのでモノクロカメラに較べて画質は落ちます。
■ レンズの分解能
 レンズには回折というやっかいなボケの問題があります。通常のレンズはレンズの回折のために2um以下の物体を認識できません。高性能の顕微鏡レンズを使ってなんとか1umの物体を認識できる程度です。
■ 高速飛翔体の静止画像
 200m/分の物体が1umの距離を進む時間は、0.3usであり、1us(百万分の1秒)では3.3um進みます。10usでは33um進みます。
高速飛翔体の動きを止めるには、現在の所短時間発光をする光源(キセノンストロボ、フラッシュLED、半導体レーザ、パルスレーザ)以外に効果的なものはないと考えます。
■ 発光遅延設定
 フラッシュLEDなどを遅延信号回路を使って、外部からのタイミング信号に合わせて遅延発光することができます。この遅延設定時間は、0.1us単位の設定が可能です。
■ 2400dpi品質の印刷工程のレジ合わせ
 2400dpiの印刷では、1ドットが10.6umとなります。この値は、200m/分で回転する印刷では3.2usの時間となりますので、この値での発光時間が一つの目安になろうかと考えます。
 
以上、ご参考までにご連絡します。

No.530【レーザ発振の位相についてご質問のG大学T.M.さん(2007.09.20)】
安藤さま

私は大学で理学療法士(リハビリの先生)の卵を育てている教員です。
理学療法士は治療の場で、レーザーを使うことがあり、今私も初心に返ってレーザーを勉強しているところで、安藤さんのHPに出会い大変感銘を受けています。さっそく光と光の記録の書籍は購入させていただきました。

さて、色々調べていますと、どうしても腑に落ちないというか自分自身が納得いかないところがありまして、思い切ってメールいたしました。

質問は
 レーザー(誘導放出された光)はなぜ位相が揃うのか?

もっといえば 

誘導放出の際に励起状態にある電子が、入射光とどうして都合よくというか、吸収もされず上からおっこちて、しかも足並みまでそろえているのか

がわからず、ネットの海をさまよっています。
どのサイトも「誘導放出された電子は入射した電子と同位相の光を出す 云々」と書いてあり(だからどうして同位相なの??? ちょっとずれる時だってあるんじゃないの?)とお、どうにも煙に巻かれた感じがします

 これは「性質」として捉えてよいものなのか?と悩んでいます。
なにか私の学生依頼の悶々を解決していただければ幸いです。

我々医療従事者は、エンジニアなどが開発したものを「効く!」と学会で発表されたなら(これも色々うさんくさいですけど)、飛びついてしまい、なにがどう作用してどうなのだなどはほとんど答えられません。
 また具体的生理学に基づいた根拠もほとんどない状況です。
特に理学療法士などは、こういったレーザーをはじめとする「機械」の「スイッチマン」(スイッチのオンオフをするだけの人)に成り下がってはいけないと、こうした原理を私なりに勉強し、学生へ伝達しようとおもっております。

 物理は比較的得意だったはずですが、歳のせいか、幾分理解力が落ちています。

大変お忙しい中と思いますが、お返信いただければ幸いです。
季節柄 どうかおからだご自愛くださいますように。
それでは。
→【安藤回答2007.09.21】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
>   レーザー(誘導放出された光)はなぜ位相が揃うのか?
>  もっといえば 
>  誘導放出の際に励起状態にある電子が、入射光とどうして都合よくと
   いうか、吸収もされず上からおっこちて、しかも足並みまでそろえて
   いるのか
■ 共振
レーザは、光の「共振」原理を利用しているので、共振ができないものは発振できずレーザとして成り立ちません。
「共振」は、音でいうと音叉のような構造物の現象を想像してもらえると理解しやすいと考えます。
ものには固有の共振周波数があり、共振する周波数は安定してその振動数を出し続けることができます。
音楽の楽器はすべて共振の構造をもっていて積極的に共振条件を作って音を出しています。
車などは、共振が起きないようにいろいろな工夫をして逃がしています。
車のサスペンションなどは1〜2Hzの共振が起きやすく、道路の轍や凹凸があるとその凹凸に共振して車が大きくバウンドすることがあります。
このように、音響学では共振というのは身近にあり現象としてわかりやすいために多くの人が理解してくれると思います。

■ 電子の共振
すこし難しくして、電波を考えた場合、電気の世界でも共振現象を使っています。
電気を非常に高い周波数で導電体(アンテナ)に流すと電気の振動(共振)がおきます。
共振が強いと導電体から空中に飛び出すようになります。
これが電波であり無線通信の基本となっています。
電気でも共振はおこるのです。電気回路的に共振の起こりやすい回路を作って(発振回路)積極的に利用しています。

■ 光の共振
共振は、波の性質をもつものならすべてのものに対して起きるはずだという予測が科学者の間にありました。
光も波であるから共振は起きるはずだ、と考えました。
では、どうやって共振条件を作るか。これが一番難しいことでした。
1960年までの科学者のほとんどは、光の共振とそれに伴う光の発振現象は理論的にはわかるけれど、それを実現するのは不可能と考えていました。
ノーベル賞を受賞した偉い科学者でも光の共振条件は不可能だと言明していたのです。
光の共振は、実際の自然現象では現れません。
光の干渉や回折は比較的簡単に実験することができますが、共振は不可能です

不可能である理由は、
  1. 光の波長を揃えなければならない(単一波長)
  2. 光の位相を揃えなければならない
という難しい問題を解決しなければならないのです。
共振というのは、位相を揃えなければ発振しないのです。
位相を揃えるというのは、たとえばブランコをこぐときに揺れるタイミングに合わせて少しづつ力を与えてブランコを押すことを言います。
ぶらんこが帰って来るときに力を与えたのではブランコは止まってしまいます。ブランコが行くときにそれに合わせて押してやればブランコのフレはどんどん大きくなります。これが共振の基本的な考え方です。

■ 光の位相
光の位相をどうやって揃えるのか。
これが一番の大きな問題でした。
レーザの着想をした当時の科学者は、50年以上も前にアインシュタインが発表していた「光の誘導放出理論」を思い出しました。
この理論は、アインシュタインが発表したときはあまり関心が持たれていなかったものです。
この誘導放出理論こそが、光の共振をおこなえる唯一の方法だったのです。
誘導放出理論というのは、ある波長の光が物質の中に入ると同じ波長の光がたくさん放出されるという理論です。
これが位相がそろう根拠になっています。
光の誘導放出は、簡単に起きるかというとそうはならず、簡単にはおきません。
光の誘導放出を起こしやすい物質を探さなければなりません。
物質探しが大きな問題でした。
原子には特定の光しか出さないというのは、当時の物理学では常識になっていました。
現在では、原子が放出する光は原子によって決められていることを利用して、光を分析することにより物質を特定できるまでになっています。(ガスクロマトグラフ)
この原子探しで特定の波長だけを取り出すことが可能になります。これから誘導放出できる条件を作り出す工夫が続けられました。

■ 光の共振箱
もう一つの問題は、誘導放出された光を増幅して共振を高めなければなりません。
その光増幅機能の設計も大きな問題でした。
光増幅には、一対の精度の高い鏡を光の波長単位で精度良く配置して、その間で光を何度も反射させて光の増幅を行っています。
音叉の共鳴箱やトランペットなどの共鳴管と同じような理屈です。
この光学(鏡)配置が悪いと発振が起きないためレーザ発振はおきません。

>  (だからどうして同位相なの??? ちょっとずれる時だってある
>  んじゃないの?)とお、どうにも煙に巻かれた感じがします
ずれることは日常茶飯事です。
できるだけずれないようにして安定性や信頼性を高める技術が必要でした。
初期のレーザは電気をたくさん使ってほんの一握りの光を取り出すことしかできませんでした。
これは、物質に不純物が含まれていてきれいな波長の光が取り出せなかったり、光学装置の精度が悪いためでした。
100,000の電気エネルギーに対してレーザ光を取り出すのは1ぐらいの程度でした。

ただ、原理的に原子レベルで誘導放出される光は位相がずれることはありません。
ですが、極めて短い時間(フェムト秒よりももっと短い時間)ではばらついていると考えられています。
ずれる度合いをどの程度のレベルで考えるかによって変わります。

レーザ発振は、簡単にはできませんでした。
レーザが発振できた当時でも、ほとんど人は意味がわからなかったので、マスコミの扱いは小さなものでした。
一握りの科学者がその重要性を理解したに過ぎませんでした。
ですから、現代でも、レーザの本質がわかる人は少なかろうと思います。
私の周りでも(親、兄弟、知り合い)レーザの本質がわかる人はいません。
物理学者は、理解できる基盤があるので半分以上の人は理解できると思います。

以上ご参考までに。

No.529【奇天烈エレキテルの記述の間違いについてご指摘のT.T.さん(2007.09.16)】
安藤様
 「奇天烈エレキテル」の一部を読みました。なかなか興味のある内容で、面白く読みました。
 
「1-5-4 磁力」の項に、
CGS emuの磁束密度の単位: 1000 G(ガウス) = 1 Wb/m2
 
とあるのは、10,000 G(ガウス) の間違いですネ。
右辺は1 T(テスラ)ですから。
→【安藤回答2007.09.17】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご指摘の件、まことにありがとうございます。
早速修正させていただきました。
今後ともご愛顧願えるよう頑張って行きたいと思います。
よろしくお願いします。

No.528【単位面積当りの光の透過についてご質問のFuさん(2007.09.11)】
安藤 幸司 様
 
突然のメールで失礼致します。
A社のFuと申します。
 
光学に関する知識が少ない私にとっては勉強できる場としてHPを活用させて頂いています。
 
現在、業務で顕微鏡の対物レンズを使用した透過率計の検討を行っています。透過率計として必要な分解能を確保する為の受光素子に到達させる目標光量を受光素子の光電変換効率から算出したのですが、その目標を満たす為にはどれくらいの出力を持つ光源を用意したら良いのか判らず困っています。
 
20倍の対物レンズを通る事によって生じる光量の減少率(受光面での照度/観察面での照度)が判れば、必要な光源出力が逆算できるのかと考えたのですが、その計算方法がわからない状況です。
 
透過率計の測定系は添付ファイルのような構成で光源は下記3タイプを考えています。
 
  (a)LEDを元にしてレンズの組合せにより平行光にした光源
  (b)光源にLDモジュールをを使用
  (c)LEDを元にして、レンズにより集光を使用した光源
 
そこでよろしければ、下記4点の質問に対してアドバイスいただけないでしょうか?
お忙しい所申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
私の理解が不十分な為、質問自体がおかしなものになっているかもしれませんが、ご容赦下さい。
 
質問内容1
(b)の構成についてはHPの光と光の記録(光編)の「レーザ光の強さ」の式(Light48,49,50,52,53等)を参考にすると、以下2項目の積が観察面と受光面での照度(=単位面積当たりの光量?)減少率になるのだろうか?と思ったのですが、この認識で良いのでしょうか?
 
1. 対物レンズでの像拡大による面積の増加の比率に応じた照度の減少率(1/400)
2. 対物レンズの光学系での吸収ロス(1/2と仮定)
 
質問内容2
光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」のLens-14式により求められる観察面と受光面の明るさの比と、光編の「レーザ光の強さ」(式、Light48,49,50,52,53)を参考に計算した結果が異なるのですが、何故なのでしょうか?
扱っている光が平行光だとLens-14式は適用されないのでしょうか?
 
質問内容3
HPの光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」拝見した所、単位面積当たりの光量の減少率は入射する光の性質(レーザーのような平行光やLED等の拡散光)により計算方法が異なりそうな印象を受けましました。
今回考えているような光源(a),(c)について観察面と受光面での単位面積当たりの光量比を求める場合どのように計算したらよいのでしょうか?
 
質問内容4
Lens-14式を使う場合Rの反射係数は、どのように求めたらよいのでしょうか?
また、結像係数Qは常に0.828で良いのでしょうか?うな質問をして申し訳ありませんがどうぞよろしくお願い致します。
→【安藤回答2007.09.17】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
>質問内容1
>(b)の構成についてはHPの光と光の記録(光編)の「レーザ光の強さ」
>の式(Light48,49,50,52,53等)を参考にすると、以下2項目の積が
>観察面と受光面での照度(=単位面積当たりの光量?)減少率になるのだ
ろうか?と思ったのですが、この認識で良いのでしょうか?
>
>1. 対物レンズでの像拡大による面積の増加の比率に応じた照度の減少率
   (1/400)
>2. 対物レンズの光学系での吸収ロス(1/2と仮定)
(c)のレイアウトについて、以下の項目に従って各光学コンポーネント上を光がどのくらい透過していくかを算出していきます。
1. 半導体レーザの光出力
2. 半導体レーザが決められた放射角で放出する光の量(およそ60%から
  80%か)
3. 半導体レーザの放射角度とコリメータレンズが受けられる口径でのロス
  (アパーチュアを含める)(およそ5%から20%か)
4. 試料上に入射される光量(3.と同じ程度か)
5. 試料で減衰する光量(およそ25%から50%か)
6. 顕微鏡の透過率(およそ60%から80%程度か)
7. 顕微鏡の拡大率 x20のレンズでは、光量は1/400倍(倍率の二乗)の
  光量補正が必要
8. 顕微鏡レンズの開口率(N.A.)
(N.A.が3.のコリメータレンズ光学系のN.A.よりも大きいときは考慮に
   入れないが、小さいときは光源の光のすべてが入らないので考慮すべき)
9. 受光素子の受光感度
これより、受光素子の受光感度(9.)から逆に遡って行って、必要な半導体レーザにどのくらいの出力(1.)が必要かを求めます。
この考え方は、(a)のレイアウトでも(c)のレイアウトでも同じです。
 
>質問内容2
>光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」のLens-14式により
>求められる観察面と受光面の明るさの比と、光編の「レーザ光の強さ」
>(式、Light48,49,50,52,53)を参考に計算した結果が異なるのですが、
>何故なのでしょうか?
>扱っている光が平行光だとLens-14式は適用されないのでしょうか?
ご指摘の通り、前者の式(式、Light48,49,50,52,53)は、平行光を扱った式で、後者の式(Lens-14)は一点から放射する光をレンズの口径でとらえ、像として再び一点として集める時のパワーを示しています。
 
両者の違いは、放射される光を「平行光」とみなすか、四方八方に射出される「放射光」とみなすかによって書きあらわされたものです。
被写体から放射される光が平行の場合、Lens-14式は適用されません。
Lens-14式は、物体光が四方八方に拡がる光に対してレンズ口径が頬張る放射角を吟味しています。
式、Light48,49,50,52,53には、レンズの口径(F値)に関する記述がありません。
レーザの光束(ルーメン)をダイレクトに扱っています。
 
>質問内容3
>HPの光と光の記録(レンズ編)の「F値の光伝達能力 」拝見した所、
>単位面積当たりの光量の減少率は入射する光の性質
>(レーザーのような平行光やLED等の拡散光)により計算方法が異なり
>そうな印象を受けましました。
>今回考えているような光源(a),(c)について観察面と受光面での
>単位面積当たりの光量比を求める場合どのように計算したらよいのでしょうか?
上の質問とも重複しますが、被写体からの光が光学系の口径に邪魔をするかしないかで計算方法がことなります。
被写体から広い角度で拡がった光は対物レンズではすべて拾いきれません。
しかし、被写体からの光が平行光でレンズの口径がその平行光の束よりも大きければレンズの口径は無視してよくなります。
 
(a)のレイアウトでは被写体を0.5mm径の平行光が透過するので、顕微鏡の対物レンズの口径が0.5mm以上あれば平行光を無駄なく受光素子に送り込めるようです。(ただ被写体で平行光が散乱した場合はその分だけ加味する必要があります。)
(c)の試料上に集光する光学系では、集光する光源の集光角度が対物レンズのN.Aよりも小さい必要があります。そうしないと、試料から放出される透過発散光がすべて顕微鏡レンズの口径内でとらえられなくなります。
 
>質問内容4
>Lens-14式を使う場合Rの反射係数は、どのように求めたらよいのでしょうか?
>また、結像係数Qは常に0.828で良いのでしょうか?
結像係数は一般的なカメラレンズに対してのものです。
0.828というのは光学系の減衰率を加味したものでレンズ面の反射や吸収を意味しています。
顕微鏡レンズではどの程度かわかりません。0.8程度で良いだろうとは思います。
 
以上、やぶにらみの回答かもしれませんが、わかる範囲でお答えいたしました。

No.527【カラーシュリーレン撮影についてご質問のK大学のS.K.さん(2007.08.16)】
突然のメール大変失礼致します。
K大学大学院に所属している修士2年のS.K.です。
私は研究においてディーゼルの噴霧特性を把握するために噴霧の可視化を行なう予定です。
その手段としてカラーシュリーレン方法を用いようと考えています。
そこで一つお尋ねしたいことがあります。
それはカラーフィルターの作成方法についてです。
カラーシュリーレンで可視化を行なう際にはカラーフィルターをナイフエッジの変わりに設置する必要があると聞きました。
そこでカラーフィルターを作成しようと思うのですが,作り方についての資料を見つけることが出来ませんでした。
私は透明フィルムに赤、緑、青のフィルムを貼ることでカラーフィルターを作ることを考えています。
しかし,それぞれの色のフィルムの幅[mm]を如何ほどにすればいいのか分からないでいます。
よろしければ教えていただけないでしょうか?
実験装置と致しましては
幅:80[mm]、高さ160[mm]の窓を取り付けた定容燃焼機を用い、
その窓から噴霧の撮影をおこう予定です。
いきなりこのような質問をして申し訳ありませんがどうぞよろしくお願い致します。
→【安藤回答2007.08.17】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
カラーシュリーレンのカラーパターンはいろいろな方法があります。
簡単なのは、赤と青の2つのカラーパターンを作ることです。
10mmx10mm程度のフィルター部に10mmx5mmのパターンを2つ貼り合わせれば良いかと思います。
中央部を緑にして左右を赤と青にする場合には、中央部を10mmx0.5mm
〜1mmとし左右を10mmx5mm程度にします。
中心部をφ1.5mm〜2mmの緑色としてその回りを1/3等分ずつφ10mm程度の大きさで黄色、青、赤に割り当てる方法もあります。
 
カラーパターンは、従来はフィルムカメラを使ってカラーリバーサルフィルムでカラーパターンを作画したものを撮影していましたが、OHPのフィルムにインクジェットプリンタで直接印刷する方法もあります。
カラーシュリーレンではカラーのエッジ部がきちんと描き切れていないと綺麗なカラーシュリーレン画像が得られないので、ガラスフィルタを切って作ることも一案です。
また、ゼラチンカラーフィルタを購入して貼り合わせても良いかと思います。
 
老婆心ながら、シュリーレン光源は、キセノン光源(白色)がお奨めです。レーザ光源はカラーシュリーレンができません。キセノンストロボによる単発発光でのデジカメ撮影ですと光量に問題がありませんが、高速度カメラでの使用となると、500W程度の連続発光のキセノンランプが必要と思われます。
噴霧現象では屈折が強く起こるので、ナイフエッジ部で1mm程度の屈折は十分にあると考えます。
以上ご参考までに。

No.526【奇天烈エレキテルにご訪問のM.I.さん(2007.08.15)】
安藤さま
奇天烈エレキテル その1 面白くよませていただきました.
先日,小学生の子供の夏休みの宿題のヒントになるのではと,
川崎の電気の史料館に行き,とても刺激を受けました.
(博物館がもともと好きなもので.)
そこで,交流についてのディスプレイが面白く,理論化した人とし
てスタインメッツの名前が挙げられてました.まったく知らなかっ
た人なので,調べようと思いました.
Wikipediaで見ても大した記事がなく,インターネット全体をgoogle
で検索していて,貴サイトにたどりつきました.
スタインメッツの理論について望んでいた記事が書かれていたわけで
はないですが,
とても読み応えのあるサイトで,心底感心いたしました.
子供には「人間は学習することが宿命づけられている存在だ,
どんな職業についても一生勉強するんだ」と言い聞かせている手前,
親も常に知的
好奇心を常日ごろ持とうとしております.
とても,よい刺激をうけました.
御礼申し上げます
→【安藤回答2007.08.16】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
高校時代、電気はとても苦手な科目でした。
それが社会人になって付き合わされるようになり、今はまた光を追求している関係上、電気の知識がますます必要になってきています。
現在の教育は、知識を一気に押しつけてしまうので、受け手の方で咀嚼する力がないと覚えきれない問題があります。
理解するより覚える事の方が優先されてしまい、脳に入れておくだけに教育の重きが置かれているように思えてなりません。
技術の分野を進化の過程としてとらえると随分と知識が整理されます。
整理整頓を心がけた技術知識の習得は、より深い理解への道だと考え本ホームページを細々と続けています。
 
今後もいろいろご意見をいただければ幸いです。
 
ありがとうございました。

No.525【ダイレーザの色素の劣化についてご質問のT.U.さん(2007.07.31)】
安藤幸司様、
 
はじめまして、レーザーメーカーで研究をしておりますT.U.と申します。
意見というより質問なのですが、現在私はDyeLaserの研究をしているのですが、出力の安定を得ることが非常に難しく困っております。
 
現在使用しているリゾネーターの機構はフラッシュランプにて直接Dyeを励起する機構を使用しております。圧力、流量、色度を一定にしても極端に出力が低いものがあります。また、寿命においても非常にバラつきがあり使用頻度に依存しません、というより使用頻度が高ほど寿命が長いように感じます。
 
残念ながら私どもには化学の知識が豊かな人間がおらず、Dye、COTに関しては海外のメーカーに製造、検査を頼っているのが現状です。
何が、どう劣化するとこのように出力の低下が見られるのか。また、変化、変異をしている物質を簡単に検査する方法等はないのか、もしご存知であれば教えていただけないでしょうか?
 
よろしくお願いいたします。
→【安藤回答2007.08.01】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
色素レーザに関しては、深い知識がありません。
今回のご質問に関しては色素を扱っている商社・メーカに同様の質問
をする以外こちらも手だてがありません。
色素の劣化は、ピークエネルギーの高い光で集光が強いほど劣化
すると考えられます。
あと溶剤であるアルコールや水の純度、酸化などによる劣化も
考えられるかもしれません。
当方でわかるのはこの程度です。
あまりお役にたてず申し訳ありません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

No.524【光の集光についてご質問のK.I.さん(2007.07.25)】
安藤様。
 
N社のK.I.と申します。
 
突然のメールで失礼します。貴殿のHPを拝見させていただきました。
光の集光について、質問がありお時間がある時で結構ですのでご意見を伺いたくメールを差し上げました。
 
例えば、1立方メートルの箱があるとします。この中は、内面のうち5面により様々な角度で反射され不均一な拡散した光で満ちていていて、その光が残りの1面の窓から箱の外に放出されるとします。
光源は線光源です。
この時に窓から放出される光は、拡散されたままなのですが、この光を平行(広がり角6°程度)にすることは可能なのでしょうか?
ちなみに、拡散した光の中から平行な光だけを取り出すのではなく、 拡散した光の中から平行な光+平行でない光を平行にした分の光  です。
 
今のところ、フレネルレンズや、フライアイレンズ、フライアイよりもう少ししっかりとした広角のレンズを面状に並べた物等を考えているのですが、あまり上手くいきそうな気がしません。
 
ご意見を頂戴したく思います。
 
以上です。宜しくご検討ください.
→【安藤回答2007.07.26】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
>  ちなみに、拡散した光の中から平行な光だけを取り出すのではなく、
> 拡散した光の中から平行な光+平行でない光を平行にした分の光です
私の知る限り、これは不可能だと思います。
入射する光と射出する光は一定の関係によって光学系が成り立ちます。
ご質問の内容は、入射角が180°の変数を持っていて、射出する光が±3度の許容とする光学系を作るということだと理解しました。
これを満足するのはカメラレンズの魚眼レンズを逆に向けたような光学系が要求仕様に最も近いものになりそうですが、射出光は±3度に収まりそうにありません。
平行に近い光を出すには入射する光の素姓に制限を加えないと難しいと思います。
N.A.=1の光ファイバーで広い範囲から入る光を導きいれて、ファイバーの射出側に凸レンズを置いて凸レンズの焦点位置にファイバー出力端を置けば射出光は平行光になると思います。
ですが、N.A.=1のファイバーの伝達効率、効率のよい凸レンズ(フライアイレンズ)の設計をする必要があり、効率は悪そうです。
 
私は光学の専門家ではないので、レンズ設計そのものは従事していません。光学設計ソフトも持っていません。
 
もし、具体的な光学系の可能性を詳しく知りたいのであれば、光学設計者にお尋ねになるのが良いかと思います。
そちらで光学設計者に心当たりがなければ、こちらで懇意にしている光学設計者をご紹介します。
 
以上ご参考までに。

No.523【パルス発光制御撮についてご質問のT.T.さん(2007.07.23)】
安藤様
突然のメール失礼いたします。T.T.と申します。
CCFL管の調光方法を調べていましたら偶然見つけ、
HPを拝見させていただきました。
私は、R社という半導体商社にてこの5月より
LCDバックライトインバータ用
制御ICの技術サポートをすることになり、現在、
インバータについて勉強をしております。
勉強をする中でPWM調光について、動作周波数と
調光周波数の関係について
安藤様の知見をお伺いすることは出来ますでしょうか?
なんとも、漠然とした内容で申し訳ございませんが、
よろしくお願いいたします.
→【安藤回答2007.07.24】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
御社は、よく存じ上げています。
私自身は、電気については素人で電気回路技術者でもありませんから、
私の知見は古いものです。
現在のLCDのバックライトをどのようにやっているのかも知りません。
そのようなものがどれだけのお手伝いができるのかわかりませんので、
ご辞退したく思います。
具体的な内容でしたら回答できるものについてはお答えできるかと思います。
漠としたご質問については、こちらは専門ではないので対応のしようがあり
ません。
ご理解いただきたく思います。
今後ともよろしくお願いします。

No.522【円筒レンズについてご質問の工業研究所勤務のA.K.さん(2007.05.21)】
はじめまして A.K.と申します。
ホームページで集光について検索していたら、見つけました。
教科書的な光学技術が実際の製品を例に取り説明されているので大変わかりやすかったです。
少し、質問なのですが、円筒レンズは、映像用の縦横比の変倍に使われるとありました。
単純にみると私もそう思います。
円筒断面で光線をみると集光なのですが、一般に集光した像や対象物からの発散光は、広がりを持っていますので、円筒断面以外から入射してくる光は、ゴースト光のようになってしまってあまり、映像用には、向かいないと思います。
このあたりのご経験があれば教えてくださるとありがたいです。
→【安藤回答2007.05.21】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
映像用のシリンドリカルレンズについてご説明します。
映画用で使われているシリンドリカルレンズはアナモフィックレンズと言います。レンズはどのタイプのものであれ収差を持っています。
特に斜めから入る光線はねじれた像になることがあり、これが非点収差 の原因になります。
レンズは非点収差が最もやっかいなものです。
アナモフィックレンズも、当然非点収差 を持ちます。それを補うためにレンズエレメントを何枚も使って収差を取ります。
映画用のアナモフィックレンズは、そうして作られていますから円筒レンズと言っても高価なものです。1本が200万円程度すると聞いています。
1枚もののシリンドリカルレンズは、市販でも売っていますのでそれを使ってカメラレンズの前に装着すれば、縦横の違う圧縮画像が得られます。
もちろんシリンドリカルレンズは一枚ですから収差があり、御懸念されている非点収差が出ます。
私自身、アナモフィックレンズは使用した経験があまりありませんんが、映画館で映像を見る限り収差は十分取れていると感じています。
アナモフィックレンズ製作に携わった職人さんの話を聞くと、このレンズは組み上げるのにすごく手間がかかったそうです。
6枚程度のシリンドリカルレンズを組み合わせてアナモフィックレンズを作るのですが、各レンズエレメントの角度が少しでも狂うと満足な像にならなかったそうです。カマボコ型レンズなので垂直精度がきちんと出ていないといろんな収差がでてくるのです。
昔、印刷物を作る製版工程で光学写植を行っていて、拡大、縮小、縦横変倍をレンズによって活字を変換させていました。縦横変倍に使われたのがシリンドリカルレンズです。
メガネの乱視矯正も一種の円筒レンズです。これもちゃんと修正を取ったものを使わないと片ボケした像となり見づらいものになります。
以上ご参考までに。

No.521【光の単位についてご質問のT.H.さん(2007.04.21)】
安藤様
はじめまして、私はT.H.と申します。光の単位の違いについて、勉強をしていたところ安藤様のホームページにたどり着きました。
安藤様のホームページに御座いました光の単位cd、lm、Wの違いについての項目を読ませて頂きましたが、なかなか理解が出来ずに困っております。
そこで、大変申し訳御座いませんが、素人でも
分かるように噛み砕いたご説明を頂けますでしょうか?
非常にお手数かと思いますが、
何卒、宜しくお願い致しますご教授いただければと思います。
→【安藤回答2007.04.25】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
残念ながら、ホームページに書いてあることが私のすべてです。
小出しにしていることはありません。
貴殿がどの程度の背景を持った方かわかりませんし、何に対し
てわからないのか文面では推し量れませんので、コメントのし
ようがありません。
一生懸命努力してわかろうとしていることだけは伝わりました。
なにか疑問があって訪問されたのだということもわかりました。
しかし、それで何をどう説明せよというのかがわかりません。
申し訳ありませんが、ご容赦下さい。

No.520【雪の明るさと空の明るさについてご質問のM.S.さん(2007.04.21)】
はじめまして、M.S.と申します。
私は家庭用ゲーム機のグラフィックの仕事をしているのですが、最近のゲームグラフィックにおいて光の知識がデザイナーにも必要と感じ、安藤先生のページを拝見させていただいております。
常々疑問に思っていることがあります。
曇り空の条件で、雪の積もった地面が空よりも明るく感じるのは気のせいなのでしょうか?
写真では雪のほうが白く感じられます。
たとえば、一面が均一に拡散発光している球体の中に、板状の鏡と、板状の完全拡散が存在していたら、どちらのほうが明るいのでしょうか
半球から入ってくる光を積分したら2倍になるのですがそういうことでよろしいのでしょうか?
恐縮ではございますが、ご教授いただければと思います。
→【安藤回答2007.04.24】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
ご連絡遅れて申し訳ありません。
  >  曇り空の条件で、雪の積もった地面が空よりも明るく感じるのは
  >  気のせいなのでしょうか?
  >  写真では雪のほうが白く感じられます。
私も、うすうす感じていましたが、じっくりと考えたことがありませんでした。
写真に撮って明るく見えるのであれば、事実であろうと思います。
曇り空での空の明るさと雪の白さを比べてみて、雪の方が明るく見えるのは
以下の理由からだろうと想像されます。
(確かめてませんので、憶測です。)
1. 曇天の空は球面をした積分球とすると、全天からの光が地上に降り注ぐ
  ため単位面積当たりの雪に対して通常照射される光以上の光束を受ける。
2. 雪が小さな氷粒で構成されているとすると、完全拡散体とはならず、
  ガラスビーズの集まりとなり細かくキラキラと輝く。
  道路標識などの反射板のような特性になる。
3. 雪は、通常の白色体よりも青色領域、紫外線を反射しやすいために明るく
  見える(撮影される)。
4. 地上一面が雪野原だとすると、地上での光の反射がとても多くなり空より
  も明るく見える。
これらが、私の想像する理由です。
今後、曇天の日に、いろいろな被写体について反射特性を調べて行きたいと
思います。雪は、東京ではあまり経験できないので簡単にはいきませんが心に
留めておきます。
もし、そちらで確認できるチャンスがあれば、曇天の空だけを写した時の撮影
条件(露出時間、レンズ絞り、カメラ感度)と、雪だけを写したときの撮影条
件(露出時間、レンズ絞り、カメラ感度)を出して、明るさの度合いをチェッ
クされれば、上の想定理由のうちのどれかが絞り込めるかもしれません。
以上ご連絡申し上げます。

No.519【超音波振動子についてご質問のSi.さん(2007.04.12)】
はじめまして、Siと申します。
超音波振動子(圧電素子)の振る舞いを、撮影したいと考えております。
周期信号で駆動しておりますので、振動に同期させ、LED発光などでストロボ撮影することは、可能でしょうか?
アドバイスいただけますれば、幸いです。
よろしくお願いします。
→【安藤回答2007.04.12】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
圧電素子の撮影は何度か行っています。
 
【撮影倍率】
圧電素子の挙動は、高速でしかも変位量が少ないので、直接撮影を行
うのは極めて困難です。
おそらく変位量は0.5um〜1.5um程度と考えられます。
これは光の波長レベルであり、光学系顕微鏡を使ったとしても空間分解
能の限界に近い値です。
高性能の光学顕微鏡の対物レンズx100を用いたとして、また、
7ummx7umを1画素とするCCDカメラを使ったとすると、圧電素子の
変位はCCD素子の10画素から20画素分でしか変位量としてしかとらえる
ことができません。この場合、顕微鏡レンズから被写体までの距離は
1mm〜3mm程度となります。
 
【発光遅れと発光時間】
アクチュエータ(圧電素子)の周波数応答を3KHzと見なすと素子の応答
性能は10us以下と考えられます。
このことは、計測システムの遅れが10us以下、つまり数マイクロ秒で応答
するものを使わないと、正確な同期計測ができないことを意味します。
LEDの発光遅れは数マイクロ秒ですが、短時間に発光をさせるためには発
光駆動回路に高速スイッチング素子を使う必要があります。
また、圧電素子の変位速度を1um/10us(10usの間に1um動く)とする
と、その速度は100mm/sであり、CCD素子上で1画素分の変位以内に収
めたいとすると、0.7usの発光が必要です。
これ以上長いLEDの発光は画流れを起こしてしまいます。
圧電素子が運動を止めた位置で撮影するのであれば、長い発光時間でも
問題ありません。
拡大撮影で短時間発光の光源はカメラにとって暗い光源となるので、
照明はバックライト(影画)照明になろうかと考えます。
拡大撮影なので照明にもそれなりの集光装置が必要となります。
 
【実績】
微小変位の撮影には上記の理由から、直接撮影の他に、光学的な手法を
使って可視化する方法が多く用いられています。
この方法はピエゾ微小物体面にレーザを照射させ表面に干渉縞を形成し、
微小物体の位置の変化で干渉縞が変わるため、その干渉縞のパターンから
位置を測定するものです。この方法は実験設備が大がかりになりますが、
光の波長単位の1/4(0.1um程度)で測定が行えます。
 
以上、お答えできる範囲でご連絡申し上げます。

No.518【レーザダイオードの発光効率ついてご質問のK.U.さん(2007.04.10)】
安藤様
Web Page を拝見しました。
いずれじっくり楽しませて頂きたいと思います。
お手数でなければ、簡単な質問に簡単に答えて頂けないかを思い、
E-Mail させて頂きます。
LD の発光効率はどのくらいなのでしょうか。
On-chip の PD をやっていたときには、量子効率は90%くらい取れていました。
Drift と拡散の両方が寄与するのですが。これはどちらかというと専門です。
LED の場合は、空間角 4Pi の全方向に等しく放射するなら、NA=0.65 のレンズに対して、N=3.6 とすると、光放射の0.8%程度を取り込む事が出来る計算になります(共有結合しているのだから、Isotropic ではないかも知れません)。
端面発光のLD なら、Web Page では半値角で十数度ですね。
DVD や Blu-ray で NAが有効なのは記録時ではなく、読み出し時の解像度に効くと理解します。 WebPage では Sony のLDの微分発光効率が 1mW/1mA とあります。
hv とq の関係でこれから量子効率を見れば、
0.001/6.6E-34/3E8x405E-9/0.001x1.6E-19=33%
位であるというのが当たっていますか?
US Privisional Patentを提出するときに必要なので、、、
発光に寄与しない分は再結合するのでしょうか?
上の計算をしなくても 、Bandgap が3V程度なら、
確かに効率は33%ですね(3Vx1mA=3mW)。
微分発光効率とは何を意味しますか?。
→【安藤回答2007.04.11】
安藤幸司といいます。安藤幸司といいます。
AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
ご質問の内容は私の知識を越えるもので、そこまでの知見とLDとの関わりがありません。
量子効率はCCDカメラなどでよく論議していますが、LEDなどは出てきた光だけに関心を持ってきて、量子効率まで踏み込んで検討をしてきませんでした。
カタログなどを見てしかご回答する術がないのが現状です。
いずれ、取り組んで行きたいと考えています。
しかし、さしあたってご回答申し上げる知見がないのでご勘弁いただきたく思います。
 
お便りいただきとてもありがたく思いました。
今後ともよろしくお願いします。

No.517【クリスタルガラスの発火性についてご質問のM.S.さん(2007.03.17)】
安藤様
 
突然のメールで大変失礼致します。
光と光の記録 レンズ編をサーチしていて偶然見つけ、
拝見させて頂きました。
また、メール送信ボタンを発見し、お言葉に甘えてメールさせて頂きました。
 
私は全く安藤様とは違う世界の会社で働いております。
簡単に言うと、風水(ご存知ですか?)や気に関する全般を扱う
小さな会社なのですが、
(自分で言うのもなんですが、決して怪しい所ではないです)
社内で風水クリスタルなるものを制作・販売しております。
 
これは、スワロフスキー社のクリスタルに装飾を施して
窓辺に吊るすと、そのクリスタル(ガラス)を通して室内に虹ができ
その虹が部屋の気を浄化すると言うものなのですが、
今回、『クリスタルを窓辺に置いて火事にならないのか?
ならないとして、なぜ火事にならないのかを調査して報告せよ』
との指示を受けました。
 
昔から物理・化学は大の苦手。(そのわりには理工系の高校を出ました)
小学生用の本を図書館で数冊借りるも、意味が分からない上に
睡魔に襲われて読めない状態。
 
インターネットで『サンキャッチャー 火事』と言う項目で検索していると
『スワロフスキー社のクリスタルは、光を分散して虹色になるプリズムの原
理を使用して、凸レンズ加工は使われていないため、火事にならないよう
カット面で工夫がされています
と言う同業者の記事をみつけました。
 
『凸レンズ?プリズム?』と言う事で、更に検索していく過程で
安藤様のサイトに行き当たったわけです。
 
あれだけ膨大な字数が並んでいるサイトは普段、頭を使っていない私は
敬遠するのですが、読んでみるとなんだか面白い。
自分の目的とカメラはちょっと違うかな?と思いつつも
読んでしまいました。
慣れない単語ばかりなので、何度か読み返さないと頭に入らないのですが、
でも眠くならない。
普段、読み物は何度読み返しても頭に入らない事が多いので、
理解できるのが不思議でもあり、面白くもありました。
 
私は普段ブログも仕事で書いておりますが、なるべく字数を減らして
分かりやすくしようとしていましたが、安藤様の文章を読んで考えが
変わりました。
それだけ、読みやすく、面白い内容でした。
専門家の方の記事だからでしょうか。。。
内容を本当に理解して初めて、分かりやすい文章は書けるのだなと
大変勉強になりました。
もちろん、安藤様の文才のお陰でもありますが。
 
とは言っても、もちろん、素人の私が記事を全て理解できた訳では
ないので、これからも度々訪れて、何回も読み返させて頂きたいと
思っています。
 
ところで、肝心の『プリズムの原理だから火事にならない』説明が
まだ見つかっておらず、会社に報告できないでおります。
(誰が読んでも分かるような説明文を書かなければなりません)
もし、何か見解などありましたら教えていただけると大変ありがたいです。
 
本当に、偶然立ち寄ったサイトでしたが、大変面白く読ませていただきました。
また、勉強になりました。
ありがとうございました。
→【安藤回答2007.03.18】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
山火事などの事例を除いて、家庭内や自動車内で太陽光が原因で火災に至るのは、ビンや金魚鉢の凸レンズ効果によるものだと理解しています。虫メガネを使って太陽光を集光させると、焦点面に太陽光エネルギーが集光し、強い光と熱エネルギーにより発火に至ります。
クリスタルガラスは、形状が凸の形をしていない限り光を集光させることはないでしょうし、虹を作るということは光を分散させることですから、太陽からの光エネルギーを集光ではなく分散させていることになります。つまり、プリズムを使った光の分散では、発火に至る光と熱エネルギーは太陽光そのものが差し込む量よりはるかに少なくなるはずです。
 
簡単な実験として、御社の製品と、通常の鏡を用意して、クリスタルガラスでできた虹部に温度計を置いて温度上昇を見ます。同じ条件で鏡を使って温度上昇を見ます。
火事の原因となる発火には発火点以上の温度が必要になりますが、80度以下
ならまず問題はないでしょう。
室内で80度以上にするのはよほどのことがない限りありえません。対流で熱が逃げますし、太陽の位置が変わったり、プリズムが揺れ動いたりで長時間同じ場所に光が集まることはないと思われるからです。
ガソリンのような揮発性のものなら別ですけど、これは論外でしょう。
 
クリスタルガラスは、おそらく鏡の反射よりも温度上昇は低いはずです。
 
以上、参考までに連絡します。

No.516【ブルーフレーム撮影についてご質問のW大学R.N.さん(2007.03.14)】
安藤 幸司 様
 
突然のご連絡で失礼致します。
私、W大学修士1年のR.N.と申します。
たびたびホームページを拝見させていただき、光学知識のない私にとって大きな助け舟となっております。
 
現在、研究プロジェクトで定容燃焼容器内の火炎伝播及びノッキング現象の可視化(シュリーレン法)をしようと準備を進めている最中でありましてその他、ブルーフレーム撮影、分光解析等を行う予定であります。
 
そこでご相談がありまして、ブルーフレーム撮影用の高速度ビデオカメラとして、高速度ビデオカメラを使用できるかもしれない機会があるのですが、かなり高感度・高解像度と称されておりますがブルーフレーム撮影が可能であるかお聞き致したくお問い合わせ致しました。
可能性のお話で結構ですし、簡単で結構なのでお答え頂けると幸いです。
 
当方の知識不足で大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します。
→【安藤回答2007.03.15】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ブルーフレームは、大変微弱な光なので、高感度の高速度カメラが出たとしても2000コマ/秒〜4000コマ/秒程度が限界ではなかろうかと思います。
希薄燃焼になればなるほど火炎は紫外域に寄っていきますので高速度撮影は困難です。
 
一つの指標は、ブンゼンバーナーの火炎か、ブタンバーナーの青炎を、お借りできる高速度カメラで撮影してみることです。
これで、どれくらいの撮影(研究目的にあった撮影速度で良好な高速度画像がとれるか)が判断できると思います。
 
お手持ちのレンズは、ほぼベストなものだと思います。ニッコールf50mm
F1.2が一番明るいレンズなので、このレンズを使って見えない青炎は、イメージインテンシファイア(光増幅光学装置)を使わない限り難しいと思います。
 
ワンショットの撮影(タイミングを合わせて一枚だけの写真撮影を行う)であれば、イメージインテンシファイアを使わなくても感度が高く画質の良いカメラがあります。
 
以上ご参考までに。

No.515【モータの記述についてご指摘のW.Y.さん(2007.02.17)】
初めまして。
WEB拝見しました。このような活動は、社会にとって有用な事だと思います。
 http://www2.ocn.ne.jp/~anfowld3/Elecitel.html
 気になった所を申し上げます。
”高圧電流” 高電圧に直しましょう。
 
> 直流モータが電車に使われた理由は、車両が非常に重く起動のための力
> (トルク)が必要で、これには直流モータが優れていて、且つ回転が一
> 定になると電気を食わないという電車にとってまことに都合の良い特徴
> があるためであった
 
これは間違っていませんが、より正確には、直巻モーターであることを明記するべきではないでしょうか。
直流モーターでも分巻モーターでは電車はノロノロとしか起動できません。起動可能重量も多くはないでしょう。
直巻モーターをつかってても阪神電車はかつて梅田で満員の客の所為で坂を登れなかったというエピソードがあります。
 
インバーターモータを交流モーターと言う事について違和感があります。
今大活躍のIPMですが、モーターそのものは交流を貰いますが、付属のコントローラへの入力は直流なのでブラシレス直流モーターという表現になっています。
 
> 電気機関車のような高電圧で回るモータに、一度に高い電圧をかけたらどのよ
> うなことになるか。結論から言えば、まずドカンと大きな音がして車輪が空転
> し、歯車の歯が折れて飛び散り、モータが火を吹いてパンタグラフの接合部で
> 架線が溶け、機関車も火を吹き出す危険性をはらんでいる。
 
これもおかしいように思います。
先ず、モーターは電流で回ります。電圧はモーターに電流を流す為に必要な手段です。なので
「高電圧で回るモーター」という表現が意味を成しません。
直巻モーターに架線から制御抵抗ゼロでつないだ場合、モーターには架線からの供給能力一杯の電流が流れます。これによるジュール熱が架線やパンタグラフ、モータを加熱する事になります。
これで焼き切れるような場合、それはシステムとしての設計ミスとしか言いようがありません。
目一杯の電流を貰ったモーターは必死で回転しようとしますが、このとき車輪が空回りするような状態ならそもそも鉄道が成立しません。既に高速で回転してる車輪を突然レールに押し付けたのと違います。モーターの回転は徐々にスピードを上げ、モータに流れる電流も減り、相応の速度に達した都度制御抵抗を増やし、最後には架線との接続を絶ち慣性走行となります。
 
新幹線のような最近のモータは電子回路でモーターの様子を見つつ電流を流すタイミングを変えて起動トルクを得るわけですが、ノータッチで実現したのが直巻モーターです。
モーターの能力以上の負荷で止まった侭の状態で長時間通電して初めて発火に至る事です。
複数のモーターを直列に繋ぐのは、各モーターに流れる電流を等しくして起動トルクを絞りだす事が目的と思われます。
 
住友特殊金属は昨年10月からネオマックスと名称変更になっています。
 
ソニーについての記載がありますが、21世紀になっての堕落ブリも書かれてはいかがでしょうか?
不良CCDを作り、ソニー製CCD採用デジカメが発売後数年で撮影不能になるという事件。
不良電池を作り、ノートパソコンを燃した事件。
→【安藤回答2007.02.18】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご丁寧なメールをいただき、心より感謝申し上げます。
ご指摘にあずかった点、直すべき所は早速修正させていただきます。
心よりお礼申し上げます。
 
ソニーの件につきましては、事実は実感していますが、このサイトではことさらにそうした方面を浮き彫りにしたくない意向があります。
研究機関や企業の良い面の足跡を取り上げ、今回のご指摘の面は他のサイトで取り上げていただくものと思っています。
ご不快かもしれませんがご理解いただきたく思います。
 
インバータモータは、直流モータと交流モータの両方あるようです。直流モータは回転子(電機子)に電圧を印加するので、回転位置を検出して電圧を切り替えることができればブラシが不要になり、直流ブラシレスモータになろうかと思います。
交流モータは、固定子に回転磁界を与えるもので、通常は商用電源を使って回転磁界を作っていたものを、サイリスタなどで自由に周波数を作って回転磁界を与えてやるものを鉄道関係ではVVVFによるACモータと言っているようです。
ここのところは、私も十分に深く関わってないので曖昧な表現になっています。もう少し調べて誤解のない記述にしたいと思います。
ご指摘ありがとうございました。
 
今後ともよろしくお願い申し上げます。

No.514【フェーズコートについてご質問のM.T.さん(2007.02.15)】
安藤様
 
M.T.です。
ご無沙汰しております。
 
Anfoworldの益々のご発展、何よりです。
しかしながらこれだけ過去のボリュームが大きくなると、さすがに求めているQ&Aを探し出すのは至難の業ですね(笑)
 
つきましてはこのメールでお教えいただきたいのですが。
現在、個人的興味から双眼鏡の資料、カタログ類をいろいろ物色しておりますが、ダハ双眼鏡のダハ面に位相差コート(フェイズコート、Pコート等々呼ばれていますが)を施すことで位相のずれによる像のにじみ(結果として解像力の低下)が生じるのを防止しているものがかなりあるようです。
もちろん、高級機に限ってのようですが、特別最新のテクノロジーというわけではなさそうですね。
にもかかわらず、Googleで検索しても、各メーカーのHPや双眼鏡愛好家のレスにたどり着くだけで文献的なものには全く行き着きません。
ダハ面において位相差が生じるその原理と位相差コートに関して詳細に記述されている書籍、論文等をご存知でしたら是非ご教示いただきたく、宜しくお願いいたします。
→【安藤回答2007.02.18】
安藤です。
メールありがとうございました。
ご質問の件、私も最近知ったことであまりよくわかりません。
位相差コートはダハプリズムで効果があるようなのですが、詳しい説明は、日本もアメリカにも詳しいサイトがありません。
光学技術書には書いてあると思うのですが。
 
ダハプリズムはダハ面で像が交差するので位相が双方の面で反転し、その影響で互いの像のコントラストが異なるのでしょうか。
昔、フィルムを使った高速度カメラカメラ(E-10)でダハプリズムを使っていましたが、像の左右でコントラストが落ちたというような経験はありません。広い視野で使っていなかったからでしょうか。
E-10を使った顕微鏡撮影で倍率を上げて撮影したときに、ダハの稜面が画像に現れて中心部に縦線が走ったのに愕然とした経験はあります。倍率を上げたらいけない、上げるなら稜線の精度を高めないとダメ、っていうのは知りました。
 
以上ご参考までに。

No.513【赤外線による頭部認識についてご質問のK大学D.Y.さん(2007.02.13)】
初めまして,K大学4年のD.Y.と申します.
 
今卒業研究を行っていまして,研究を行っていくうちにわからないことがありどうしようもなく困っております.安藤先生のお力をおかりしたく,メールさせていただきました.
研究内容は近赤外線の分光反射率を用いて顔の方向を認識するといったものです.
詳しい内容は,肌と髪の分光反射率のグラフから940nmの赤外線を照射させた画像と780nmの赤外線を照射させた画像の差分をとって肌の部分,髪の部分を抽出させるといったものです.
しかし差分をとっても肌の部分,髪の部分を正しく抽出できません.
私が思うに,940nm,780nmの2つの画像で光の量が違うからだと考えています.
940nm,780nmの赤外線を照射させた画像は,LEDを用いて赤外線を照射させました.LEDに流れる電流は940nm,780nmでお互いに同じです.また露出ゲインも一定に設定しています.このような設定のもと,研究を行っているのに肌の部分をただしく抽出できません.どうしたらいいでしょうか.
大変失礼なお願いですが,返答頂ければ幸いです.
→【安藤回答2007.02.14】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
貴研究室にての研究内容はおおよそわかりました。940nmと780nmの二波長による同一画像の反射分布にて対象物体の認識と解釈しました。
以下の点が不明ですので、御確認方々検討をされると良いかと思います。
 
1. カメラの分光感度
カメラは940nmの近赤外に感度を持ったものをお使いでしょうか。CCDカメラは基本的にはその領域に感度をもちますがカラーカメラはフィルタが入っているため、その領域に感度がありません。また白黒CCDカメラは、多くの場合、赤外ブロックフィルタが素子の前に入っていて940nmの領域には感度がありません。
780nmの近赤外も同様のことが言えます。
 
2. レンズの波長透過特性
使用されているレンズは市販のレンズでしょうか。市販のレンズの多くはレンズ表面にコーティングがほどこされていて400nm〜700nmまでの透過特性を有し、940nmはほとんど透過しません。可視域の撮影では赤外は色収差などにより像ボケを起こすので敢えてその領域は透過をさせないようになっています。また、一般の光学ガラスでは940nm領域での波長特性は低くなります。市販のレンズでこのような赤外域での分光分布を公表しているものはあまりないと思います。
レンズの透過特性を調べる必要があります。
 
3. LEDの発光特性
940nmの発光ダイオードはどの程度の発光エネルギーをもっていますでしょうか。電流による発光エネルギーが780nm発光のLEDとどれだけ違うかを調べる必要があります。また、レンズ、カメラ保護ガラス、撮像素子の感度特性が940nm領域と780nm領域でどの程度の感度差があるかを調べる必要があります。
 
4. 被写体の反射特性
被写体が940nmにおいて吸収が多ければたくさんの光を照射してもカメラに反射されず写りません。
被写体の反射特性を調べる必要があります。
 
5. 940nm領域ではカメラ及びレンズの感度が悪いことが考えられるので、被写体が動かないものであれば、露出時間を長めに与えて撮影できる露光条件を求めることが必要です。暗いようであれば光源(LED)を増やす必要があります。
 
以上ご参考までに。

No.512【豆電球によるオームの法則についてご質問のN.O.さん(2007.02.04)】
突然すみません!
このあいだ学校の理科の実験で豆電球と白熱電球を利用して、電圧と電流の間の関係を調べたのですが、結果比例しないことがわかりました。
しかしなぜ比例しないのかがわかりません。
よかったら教えていただけませんか?
宜しくお願いいたします!
→【安藤回答2007.02.04】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
白熱電球(タングステンフィラメント)の発光による電圧と電流が正比例しないのは、フィラメントの抵抗が熱によって変化するためです。
お手元に抵抗を測るテスター(マルチボルトメータ)があれば、電気を通さないときの抵抗を測ってみてください。
おそらくかなり低い値となっていると思います。電気を流すと自らの発熱によって抵抗が上昇し電気を流れにくくします。
この理由から、電圧を変えると発熱量が変わるためフィラメントの電気抵抗が変わり電流が比例関係とはならなくなります。
 
市販の白熱電球では電源投入時に100Vが印加され、そのときにフィラメント抵抗が低いのでたくさんの電流が流れます。明るくなるとととも熱平衡に達して抵抗値が一定となり、定格出力になります。
従って、白熱電球をたくさん一度に点灯させると瞬間にたくさんの電流が流れるのでブレーカが飛ぶことがあります。
 
以上ご参考までに。

No.511【蛍光灯の照度についてご質問のM.M.さん(2007.01.04)】
安藤幸司様
 
AnfoWorldをいつも拝見しております。
さて、私は住宅地の防犯灯の照度実測を行い、改善点を研究しています。
ある地区では、20W(1本)、1,230 lm(カタログ値) の直管形蛍光防犯灯を地上から4.5mの高さに設置しています。
地上における照度を計算すると、
   1230/(4.5*4.5)=60.7(lx)
となります。
しかし、防犯灯の照度を20基程度実測すると、地上における照度は最大でも5 lx程度しかありません。
つまり、実測値は計算値の1割にもなりません。
設置から年数が経っており、カバーもうっすらと汚れていますが、これだけが原因でしょうか?
この実測値と計算値の違いについてお考えをお聞かせください。
 
初歩的な質問で申し訳ございません。よろしくお願いします。
→【安藤回答2007.01.04】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
照度計算は、光度(カンデラ)を照射距離の二乗で割ります。
メールの計算では、光束(ルーメン)を割っているので、計算間違いとなります。
蛍光灯の明るさ表示であるルーメン(lm)は蛍光灯が出す光の束のすべてを言い表しているので、蛍光灯を点光源(光度 = I)と見なすと、光束は
   4xπxI (ルーメン)
で表され、これをカタログの光束、1230 (ルーメン)に当てはめると、
   1230/(4x3.14) = 97.9 (カンデラ)
が、点光源と見なした場合の蛍光灯の仮想光度(I)となります。
この光度97.9カンデラを距離の二乗で割ってやると、
   97.9/(4.5^2) = 4.8 ルクス
となり、実測結果に近くなります。
 
蛍光灯は、面光源でかつ細長いので、逆二乗則による理論的な照度計算をするのは苦手です。
おおざっぱに計算するのであれば、蛍光灯を点光源とみなして行うか、光束
を追跡して単位面積あたりに照射する光束を求めて照度を求めます。
 
以上ご参考までに。

No.510【DangonetでのAnfoWorldにご訪問のS.K.さん(2006.12.13)】
S.K.と申します。
Anfoworldはここ5年ほど、たびたび訪れていますが「すばらしい」の一言です。
目には見えなくとも大きな社会貢献をされていると思います。
Internetは便利な反面、いろいろな悪い面もありそのような問題がNewsでもたくさんとり立たされていますが、個人の良心や、ボランティアーで支えられている、有用なサイトがそれらのマイナス面を払って余りあるほどの、価値を生み出してInternetを世の中のすばらしいToolとして認めさせているわけです。
 
このサイトは、その中でも1番に押したいと思うほど、ほれていました。
1月に終了ということで、とても残念です。
→【安藤回答2006.12.13】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
身に余るお言葉をいただき、とてもうれしく思いました。
ありがとうございます。
 
いままでのサイトは、容量が小さいので、新しいサイトを1年前より立ち上げて運営しています。
http://www.anfoworld.com/
今後は、こちらをご愛顧いただければしあわせです。
毎日試行錯誤しながら運営しています。
 
今後ともよろしくお願いします。

No.509【波長の異なる光の輝度測定についてご質問の蛍光材料会社ののN.M.さん(2006.12.06)】
こんにちは。
初めて連絡させてもらいます。
昨日光と光りの記録(光編)を発注させていただきました。
 
下記の件お分かりでしたら教えてください。
Blueに光るの物質の明視野と暗視野の輝度の比較をする際次のような計算は正しいでしょうか。
1)Blue発光の発光スペクトルを取る。(例えばミノルタの輝度計 CS-1000使用)
       B(λ)
2)上記波長ごとの出力値に明視野絶対視感度=Km(λ)=683×V(λ)、暗視野絶対視感度 Km'(λ)=1700×V'(λ) の感度をかけて積算する
なおV(λ),V'(λ)はそれぞれ明視野標準視感度、暗視野標準視感度で波長ごとの値が得られている。
    Blueの明視野輝度:Σ〔(B(λ)×Km(λ)〕=Σ〔B(λ)×683×V(λ)〕
    Blueの暗視野輝度 :Σ〔(B(λ)×Km'(λ)〕=Σ〔B(λ)×1270×V'(λ)〕
 
なお、683lm/W (at=555nm)は673lm/W
1700lm/W(at507nm)は1725lm/W
と本によって差があるようですが。
 
以上宜しく検討お願い致します。
→【安藤回答2006.12.14】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
輝度計は、cd/m2での値を持って測定するものなので、特定波長を測定するには、パワーメータ(W計測)と分光器を使わなければならないと思います。ミノルタの輝度計は、輝度計内部に人間の比視感度に合わせたフィルタが入っていて人間の比視感度に近い波長入力で輝度測定をしていると思います。
正確に青色発光の測定をされるのであれば、分光器を使って分散された希望する波長(Δλ)の光エネルギー(W)を測定し、これに比視感度κをかけて光束(ルーメン)を求めます。
この光束から輝度を求めます。
 
   >なお683lm/W (at=555nm)は673lm/W
   > 1700lm/W(at507nm)は1725lm/W
   >と本によって差があるようですが。
私の知る限り、683lm/Wで正しいと思います。
この値は、1979年10月11日、パリで開かれた第16回度量衡総会で光度の単位を以下のように取り決めています。
『1cd(カンデラ)は、光の周波数 540 x 1012 Hz において、問題とする方向の放射強度が 1/683 W/ステラジアン である光源の特定方向への放射強度とする』
 この定義の大きな特徴は、従来、黒体の発光放射光(連続した光)で光を定義していたのに対して、今回の新しい定義では、特定の波長についてのみのエネルギー単位量でカンデラ(光度)を定義しうることを示したことです。
つまり単位立体角に放出される波長555nmの光が1/683ワットであるとき、これを1カンデラと定義する、というものです。
 
以上ご参考までに。

No.508【レーザー測定器についてご質問の建築関連会社のM.K.さん(2006.11.10)】
安藤様、
初めて投稿します。実は下記の内容にて困っております。小生、建築関連の仕事からレーザを使用する計測器のアプリケーションを任されましたが専門が違い過ぎて電気磁気学、光学、物理書を見てもちんぷんかんぷん状態です。是非供、私の頭に一穴をお願い致します。
 
条件:
  ・半導体レーザー2本が光学系に90度ずらして試料に向かいます。
  ・どちらも1MHzで変調されています(ヘテロダイン変調)
  ・レーザー間は30KHzの差があります。
  ・試料は半導体ウエハーです。目的は不純物による温度(専門用語ではThermal
   Wave,Plasma Waveと呼ぶそうです)変化を反射した光量情報より読み出す。
質問:
  ・元々のレーザー周波数1MHzで変調する意味を教えて下さい。
  ・30KHzをずらす理由は何故でしょうか?
 
以上 初めてで申し訳ありませんがご教授頂ければ幸いです。
→【安藤回答2006.11.11】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご質問の件に関して、あまり深くはないので回答になっているかどうか不安ですが、わかる範囲でお答えします。
 
>  ・元々のレーザー周波数1MHzで変調する意味を教えて下さい。
ヘテロダイン変調は、もともとは音響工学から出発して、電波の送受信で精度の高い変調が行われることから有名になりました。
その音響工学の原理を光工学に応用したものと考えます。音の場合は音波(音の波長)が性能の指標となりそれで性能が決まります。また温度によって音の進む距離が違うので高い性能の検出は困難でした。光はそれに比べると格段に性能が上がります。
ヘテロダインは、波の変調を基本としているので、光も波のように強弱をつけなければなりません。光は、光の波長を持っているのですが、これだと細かすぎるために、半導体レーザを1MHz(1us単位)で明るくしたり暗くしたりしていると思います。
 
>  ・30KHzをずらす理由は何故でしょうか?
源振の1MHzとそれより少しずれた周波数を使うと、ビートが現れます。音で言う「うなり」です。ノギスで言うところの副尺(バーニア)のようなもので、ビートによって測定精度を上げています。
 
光は、特にレーザのような単波長である場合、光の波長レベルの精度で物体の長さが測れるのが特徴です。
今回のお問い合わせの製品は、そうした光の性質を利用し、旧来のヘテロダイン変調(検波)技術をそれに移植した計測装置だと思います。
 
以上ご参考までに。

No.507【シュリーレン高速撮影についてご質問のS大学院生のY.O.さん(2006.10.25)】
はじめまして。
突然のメールで失礼します。
ホームページ拝見しました。
 
S大学 工学系研究科  修士2年 Y.O.と申します。
研究は以下のような事を行っています。
 
(研究概要)
1.超音速噴流のシュリーレン法による解析
実験内容:超音速噴流をシュリーレン法を用いて、
高速度CCDカメラで撮影し、解析する。
 
2.シュリーレン法によるガス噴射現象の実験的解析
実験内容:ガス燃料の噴射・混合状態を圧縮過程を考慮し、
シュリーレン法で可視化し、高速度CCDカメラで撮影・
解析を行う。
 
ホームページにはシュリーレン法の解説が詳しくまとめてあり、
とても勉強になりました。
 
さて、我々の研究にあたって、シュリーレン法を用いるのですが、
今回から新たにYAGレーザーを光源とすることになりました。
光源が以下に示すものを用いるのですが,レーザーを用いるため
光が強すぎて高速度カメラが壊れないか心配しています.高速度カメラの
メーカーに問い合わせたところ、「ある出力まではカメラは耐えられるという
データはないので,正確にはお答えできません。」と言われました.
また,「この500mWの出力であるならば,フィルターを通すならば大丈夫で
あろう.」ともいわれました.我々が使用するレーザーは最高出力が200mW
ですので大丈夫だとは思いますが,何か注意するべきことがありましたら
教えていただきたく存じます.
 
 
・レンズマウント Cマウント(標準)
撮像方式:固体平面撮像素子
記録方式: ICメモリ方式(ダイナミックRAM)
記録容量: 320MB
画素数: フルフレーム 256×256
濃度表現: モノクロモデル:8bit
撮影速度: フルフレーム 30,60,125,250,500,750,1125,2250,4500PPS
映像出力: アナログビデオ
 
・NK製 YAGレーザ
型名:CW-532-****
波長と最高出力:532nm  200mW
ビーム直径:約2.5mm
Rmsノイズ:0.22%
使用環境温度条件:温度15℃〜35℃ 湿度85%以下
 
また,このYAGレーザーもホームページの点光源にあるようにレーザーを集光させ
てピンホールに入れたほうがよろしいのでしょうか?そのまま本体から出たレーザ
ーをピンホールに入れる場合とはどちらがよろしいのでしょうか?
 
以上、質問させていただきたくメールを送らせていただきました。
 
ホームページを拝見させていただき、できればお力を拝借できればと思っております。
突然メールを出しておいて、質問をし、大変失礼だと思いますが、
よろしくお願いいたします。
→【安藤回答2006.10.30】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご連絡遅れまして申し訳ありません。
長期海外出張していました。
 
>  我々が使用するレーザーは最高出力が200mWです
>  ので大丈夫だとは思いますが,何か注意するべきことがありましたら
>  教えていただきたく存じます.

YAGレーザは、基本的に連続発振とパルス発振の2種類があります。
今回お使いのYAGレーザは、緑色の連続発振レーザなのでほとんど問題なく
使用できます。
パルスレーザですと取り扱いに注意が必要です。パルスレーザの場合ピーク
エネルギーがMW(メガワット)になりますので、一見弱い光に見えても、
金属面を溶かします。そういう光がカメラの撮像素子に入って集光すると容
易に損傷します。
レーザライトシート光源ではパルス発振のYAGレーザを使いますが、ほとん
どの研究室がカメラ撮像面を焼いています。
それだけYAGレーザのパルス発振は強くて、トレーサの反射状況や流体の乱
反射によってレーザ光が撮像面に集光すると簡単に撮像素子を焼損させてし
まうのです。
連続発振レーザの場合はピークエネルギーが出力と同じなので、集光しない
限りそれほど大きな問題とはなりません。
私の経験ではアルゴンイオンレーザの4Wクラスを高速度カメラ用シュリー
レン光源としてたくさん使ってきましたが全く問題ありませんでした。
パルスレーザで10Wクラスの銅蒸気レーザ(ピークエネルギー約200kW)
でも損傷はありませんでした。
多くの場合、高速度カメラを使ったレーザシュリーレンでは20mWもあれ
ば十分です。連続光のレーザで20mWを拡げて使う分にはまず撮像素子を
損傷することはありません。実際の撮影では数mWもあれば十分に撮影で
きます。したがって、レーザシュリーレン撮影では、カメラレンズの前に、
1/8〜1/400程度の光を減衰させるNDフィルタをかけることになろうかと
思います。
 
貴研究室の高速度カメラはシャッタがないカメラのようですが、連続光源
を使った場合画流れが起きる心配があります。
それは問題にならないのでしょうか。
最近の高速度カメラは、カメラに電子シャッタがあり、連続光源でも10us
程度の露出が切れるので高速現象をブレのない画像としてとらえられますが、
貴研究室のカメラは、4.500コマ/秒で1/4,500秒となります。
シャッタなしでも良い現象であれば問題ありません。
 
>  また,このYAGレーザーもホームページの点光源にあるようにレー
>  ザーを集光させてピンホールに入れたほうがよろしいのでしょうか?
>  そのまま本体から出たレーザーをピンホールに入れる場合とはどちら
>  がよろしいのでしょうか?

YAGレーザはそもそもビームクォリティがよくありません。
できうる限り集光光学系を用いたピンホール光学系を作って余分な光をカット
し、きれいなシュリーレン光を作ったほうが画質が向上します。
しかし、それは段階を追ってできることなので、とりあえず簡単なことから始
められて徐々に精度を上げていかれたらよいと思います。
高速度カメラが256x256でそれほど解像力が良くないので、あまり精度の良
い光学系は必要ないかもしれません。
2000x2000画素程度のカメラになりますと光学系のアラがたちどころに見えてきます。
 
以上ご参考までに。

No.506【コリメータについてご質問の画像関連会社にお勤めのN.T.さん(2006.10.25)】
貴殿のサイトの光学に関する詳細の解説等に感動しました。
今後もこのすばらしいサイトの継続をお願いします。
(私にとってとても大事なサイトになっています。)
ところで、今、コリメータについて調べているのですが基本的な質問をさせて頂いても宜しいでしょうか?
私の理解では、コリメータというのは、入射または照射される光を平行にする働きをしているので、早い話がコリメータの前に設置されている対象物がコリメータを通すとその対象物は同じ大きさで映し出されるですが正しいでしょうか?
 
もっと極端なことをいうとコリメータに相当する筒の長さが100mであっても100m先の対象物は同じ大きさで見えるはず。
これは、正しいでしょうか?(もちろん、この場合コリメータ間の中で光の減衰にて、対象物の明るさはかなりなくなるはずなので減衰がない場合と仮定した場合です。)
 
お忙しいところすいませんが、もし回答をいただけると大変助かります。
→【安藤回答2006.10.26】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
>早い話がコリメータの前に設置されている対象物がコリメータを
>通すとその対象物は同じ大きさで映し出される
>ですが正しいでしょうか?
コリメータは、基本的には2つのレンズ群で構成されていて、コリメータ前
部の焦点距離と後部の焦点距離があり、前部の焦点位置に物体を置くと物体
の光束はコリメートされ平行光束となります。その平行光束を後部のレンズ
群で受けて後部焦点位置に像を結びます。
前部レンズ群と後部レンズ群の焦点距離が等しいものですと、像の倍率は等
倍になり、物体と同じ大きさの像が形成されます。
両レンズ群の距離は、コリメートされているので、特に大きな制約がなく自
由に取ることができます。
 
>もっと極端なことをいうとコリメータに相当する筒の長さが100mであっ
>ても100m先の対象物は同じ大きさで見えるはず。
>これは、正しいでしょうか?
理論的にはそうなります。
先に述べたコリメータの両者のレンズ群の焦点距離が等しければ同じ大きさ
に見えます。
ただ、現実的には、レンズに収差があったり、両者のレンズの光軸をただし
く調整できなかったりで、あまり長い距離を取ると期待する像を得るのが難
しくなります。
100mもの長いコリメート光は、よほどしっかりしたレンズと、100mを遮光
する鏡筒が必要です。レーザなどでも100m離れると10mmのビームが100
mmほどに拡がってしまいます。
現実的には、100mは極めて厳しい長さになります。
 
以上ご参考までに。

No.505【3次元計測についてご質問のM大学学生のT.K.さん(2006.10.23)】
安藤幸司 様
火花の研究を行っています。anfoworldを画像の知識の収集に利用にさせていただいております。
質問させてください。
物体の動きを3次元計測する場合に市販のハードディスクムービーを利用することで何か問題はおきないでしょうか。シャッタースピードも1/3000まであるため、高価なCCDビデオカメラを2台も購入しなくて実験できると考えています?。また、何か推奨品のカメラはございますか。
お忙しいことと存じますが、ご回答いただけると助かります。
現在の設備
 H**200(D社製)2台
 解析ソフト:D*** M****
 ハードディスクムービー 1台
→【安藤回答2006.10.23】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
通常のビデオカメラ(カムコーダ)を複数台使って3次元計測をするときの
注意点を述べます。
1. 複数台のカメラの時間同期に十分注意をする。
  通常のビデオカメラは30コマ/秒の撮影を行っているが、各カメラはバ
  ラバラの時間タイミング(各カメラで独自のクロック)であるため、時
  間を正確に合わせる必要あり。
  これができない場合は、カメラに正確な時間を刻むストロボやパルス
  LED、時計などを写し込み、解析時に時間補間を行う。
  計測用カメラには外部同期撮影が可能。
2. 通常のビデオカメラにはズームレンズが内蔵されているが、これはかなり
  ひどい歪みを持っている。空間位置を特定するためには慎重なキャリブレ
  ーション処理が必要。
  計測用には、マイクロレンズ(歪みが少ないレンズ)が望ましい。
3. 被写体(火花)の推移速度と被写体の大きさがよくわからないが、私の経
  験では、30コマ/秒では1/30秒の間に現象がかなり推移してしまうために
  十分な時間分解能が取れないと考える。
 一般的に、1,000コマ/秒〜5,000コマ/秒程度は必要ではなかろうか。
 
以上ご参考までに。

No.504【有機EL輝度値の変換についてご質問のT.K.さん(2006.10.09)】
安藤様
こんばんは。
anfoworldに立ち寄られた多くの方と同様に、私も光の勉強に悩み、ネットの中
を彷徨っているうちにanfoworldに行き着きました。
安藤様が、丁寧に積み重ねられた勉強の確かさに感動致しました。初歩的な質問
で大変恐縮なのですが、どうにもよくわからず、悩んでいます。
ご教授頂けますと幸いです。
 
私は、この数年、有機ELを勉強しているものですが、有機EL素子の発光特性を評価している際に用いてたcd/m2という数値(輝度)を、照明などでよく用いられるlm/Wに換算する際に、混乱してしまいました。
有機EL素子の輝度(cd/m2)をlm/Wに換算する方法を教えて頂けませんでしょうか。色によって異なる「視感度」という概念を、換算式に入れる必要はないのでしょうか?輝度は、同じ発光効率でも色が異なれば当然異なる数値になりますが、lmの場合にはどうなるのでしょうか。
例えば、1000cd/m2における有機EL素子の電力効率[lm/W]はどのように求めればよろしいのでしょうか。またその式は、どのような色においても同様に扱えるものなのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
→【安藤回答2006.10.10】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
>  有機EL素子の発光特性を評価している際に
>  用いてたcd/m2という数値(輝度)を、
>  照明などでよく用いられるlm/Wに換算する際に、
>  混乱してしまいました。
輝度cd/m2は発光体の明るさを示します。
lm/Wは、電気エネルギーを光エネルギーに変える変換効率です。Wは光エネ
ルギーではありません。
電気エネルギー1Wに対してどれだけの光束が放射されるかを示します。
 
輝度というのは、学べば学ぶほど理論的な定義で、私の中では発光体の明る
さを示すおよその目安という位置づけしかありません。
まず輝度を扱う場合には、その発光体は「完全拡散面」でなければなりません。
ご研究されている発光体は完全拡散面に近いでしょうか。
完全拡散面でないと話はちょっとやっかいで、別のアプローチから発光面の放
射光束を求めなければなりません。
 
もし、完全拡散面であるのなら、発光面の輝度Bを測定して、それにπ(円周率)をかければ単位面積当たりの光束L(ルーメン/m2)が求まります。
これに発光面積Sをかければ発光体から放出される光束(ルーメン)がもとまります。
この放射光束にどれだけの電気エネルギーが消費されているかがわかっていれば、その消費電力WでLを割ってやれば、求めたい変換効率 lm/Wが求まります。
 
>  例えば、1000cd/m2における有機EL素子の電力効率[lm/W]は
>  どのように求めればよろしいのでしょうか。またその式は、
>  どのような色においても同様に扱えるものなのでしょうか。
発光体を完全拡散面と仮定して、また発光面が50mmx50mmと仮定し、
そして、5VDC、20mAの電気で1000cd/m2の輝度発光があったとすると、
発光体の放射光束は、
 1000 (cd/m2) x 3.14 x 50E-3 (m) x 50E-3(m) = 7.85 ルーメン
電気エネルギーは、
 5(V) x 20E-3 (A) = 0.1 (W)
変換効率は、
 7.85/0.1 = 78.5 lm/W
となります。
 
>  色によって異なる「視感度」という概念を、換算式に入れる必要は
>  ないのでしょうか?
光エネルギ(W:ワット、電気エネルギーのワットではありません)と光度
(cd)、光束(lumen)を行き来する場合には比視感度係数κを加味した変
換をお行わなければなりません。
   1W at555nm = 683 ルーメン
ですから、任意の波長に対してはその波長の比視感度係数κを掛け合わせな
ければなりません。
研究されている発光体がどのような発光スペクトルを持っているかを分光器
で測定して、スペクトルの発光強度を加味しながら、光エネルギーもしくは、
光束を求めます。
 
以上ご参考までに。

No.503【マウンテンバイクにご訪問の会社員S.T.さん(2006.10.03)】
こんにちは、はじめてメールします。年齢は56歳 会社員です。
何か趣味を持ちたいと思っていたとき、年齢的にも体力の衰えを感じ、
それではと自転車にしようかと決めようと思っていたとき、車に乗って
走っていると、マウンテンバイクに乗っている熟年の方が楽しくスイスイと
乗って走っていました。つい見とれてしまい、車を止めて見えなくなるまで
車の中から見ていました。そうだこれに決めた。パソコンでマウンテンバイク
についてしらべていると安藤さんのホームページがあり読ませていただきました。
大変参考になりました。ありがとうございました。お互いに楽しみましょう。
→【安藤回答2006.10.03】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
ご丁寧にご連絡いただき、感謝申しあげます。
自転車は、健康にも大変良いものですが、事故にも十分気をつけて乗りたいものです。
私自身は、2001年より、少しの間自転車に遠ざかっています。
自分のかかえる仕事が忙しくなって、自転車に乗る機会が減りました。
それでも、近いうちに、仕事が一段落したら自転車を整備し、またボチボチと乗りたいと思います。
荒川の河川敷をゆっくりと乗りたいと思っています。
 
今後ともよろしくお願いします。
ありがとうございました。

No.502【光による書籍文字の劣化についてご質問のK.S.さん(2006.09.25)】
このようなすばらしいQ&Aのコーナーがあったとは、あり難いことです。
専門分野にも関係するのかなと思いつつ愚問を聞いてください。
最近、データの保存とかに興味を持っています。紙に書かれた文字(墨の筆文字、万年筆、サインペン等)で貴重なものも、太陽光や蛍光灯などの光による劣化で紙は黄ばんだり、ぼろぼろ状になったり、また、文字は色が飛んで文字がかすれたり、不鮮明になっているものもあります。
これらをこのままにすると、やがて完全劣化で使用不可能、人の鑑賞に堪えられなくなると思います。学者ポイ人に言わせると、保存のためにコピーやスキャンをして光を当てると100年寿命が縮まる、と言います。
これは、本当でしょうか。コピー機やスキャンの光源は蛍光管と思いますが、その光の強さと熱の温度はどのくらいで、1分も照射されないのにそんなに影響があるのでしょうか。宜しくお願いします。
→【安藤回答2006.09.25】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
>  学者ポイ人に言わせると、保存のためにコピーやスキャンをし
>  て光を当てると100年寿命が縮まる、と言います。
>  これは、本当でしょうか。
書物の光による劣化の質問と解釈します。
書物の劣化は、インクと紙の品質によると思います。
しかし100年の寿命が縮まるというのは大げさなような気がします。
12世紀頃に製本された書物も必要に応じて閲覧されています。
唐代に伝わった古文書も年に一度風通しの良いところで虫干しをして虫食いを防いでいると言われています。
毛筆による墨は、大変安定したもので、墨の劣化はほとんどありません。
和紙も植物の繊維なので安定しています。
西洋紙では漂白の強いものでは光が当たると劣化します。
特に紫外線は漂白を濁らせ、インクを劣化させますので注意が必要となります。
また、高温・多湿の環境で保管されると紙やインクが劣化します。
 
蛍光灯は、紫外線が若干出るので本には良好とは言えませんが、白熱電球による照射で紙が乾き上がるものと比べ、本に与える影響は似たりよったりではないかと考えます。
総じて、通常の蛍光灯で通常の閲覧をしただけで、本が劣化するのは、本の品質が相当に悪いものであると考えます。
多くの図書館では、蔵書のデジタル化が進んでいて、4000x4000画素相当のCCDカメラで書物を画像として保存する方向に進んでいます。この方が、閲覧者が何度も本を開くよりは本に対して優しいので、100年寿命が縮んだとしても、デジタルで取り込む作業を優先させているように見受けられます。
私自身は、100年縮まるという意見には賛同しかねます。そんな蛍光灯はとんでもなく大量の紫外線を出している街路灯のようなものだと思ってしまいますし、本の方も随分と品質の悪い紙やインクを使っているのだだなと思ってしまいます。
 
昔、カラー写真が出始めた頃、発色カプラーの品質が悪くて数年で発色が褪せてしまうことがありました。退色の原因は、高温・多湿で押し入れの中にアルバムを数年開かずにおいておくとそうなりました。もちろん太陽光に長く当てると褪せてしまいました。
 
また、屋外のポスターも太陽光と雨などにより2年くらいで褪せてしまいます。
そうした極限の使用をしないかぎり、ある程度の年月は色あせずに閲覧できると考えます。
 
>  光の強さと熱の温度はどのくらいで、1分も照射されないのにそんなに
>  影響があるのでしょうか。宜しくお願いします。
スキャナーはスキャナー面と蛍光灯が近いので通常の閲覧よりは紫外線や青色光、熱が紙面に多く当たると考えますが、そんなに頻繁に照射されるわけではないので、一度の照射で目にわかるような劣化はないと考えます。
 
以上、この件に関しては門外漢であるので、確たることは申し上げられないのですが、私見も交えてご連絡致します。
 
ご参考までに。

No.501【パソコンの文化(別巻)に御訪問のAsoさん(2006.08.09)】
安藤幸司 さま
はじめまして、Asoと申します。
わけあってDOSについて調べてた途中で「パソコンの文化」を見て、あとでじっくり読んでみました。
 
 力作ですね!!
 
情報量が多いのに理解しやすく書かれており、読み応えもありました。
初めて知ったこともたくさんあり、勉強になりました。
まだ未完のようですから、続きが発表されることをたのしみにいたします。
 
楽しませていただいたので、一言感想を、と思いメールを送らせていただきました。
→【安藤回答2006.08.09】
安藤幸司といいます。AnfoWorldご訪問ありがとうございます。
 
パソコンの世界は、自分の生きてきた世界とダブっていて、いろいろ見聞きしたメモをまとめたのがあのサイトです。
更新を考えているのですが、別のことが優先されてなかなか前に進めません。暖かいメールをもらって、ガンバロウと思う次第です。
 
気長に見ていただけるととても助かります。
今後ともよろしくお願いします。
 
ありがとうございました。

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   (過去帳 No.10 = 2005.04.21〜2006.08.05)に訪問できます。
 
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