■ 液体 グリセリン、プロピレングリコール
φ3um〜φ5um程度の粒子が発生する。
空気の流れの可視化に利用される。
■ 液体 シリコン SSI(Silicon Oil Particle Scattering Imaging)手法
燃料の噴霧研究用に使用。
燃料(Oソルベント:C12H26 21.4% + C13H28 51.6% + C14H30 22.0%)に5%シリコンオイルを混ぜて使用。 シリコンオイルを少量混ぜることにより燃料が霧化されて撮影できなくなってもシリコン粒子が霧化された燃料の近傍に残る。 シリコン粒子は、レーザシート光で散乱され撮影に十分な強度が得られる。
光源は銅蒸気レーザを使ったレーザライトシートが適当。 シリコン粒子がトレーサとなって霧化状況をレーザシート手法で可視化できる。
また、噴霧から燃焼に至る過程では燃焼温度によりシリコン粒子が気化するため燃焼過程ではレーザシートの散乱が生じない。
この性質を利用して、燃焼の起きない窒素雰囲気と燃焼が起きる空気雰囲気についてSSI手法による撮影を行い着火パターンの特定まで言及可能。
撮影速度は、20,000コマ/秒。
■ 気体 水素気泡
水素で作るシャボン玉。
空気の流れの可視化に利用される。
シャボン玉に水素を入れるのは危険が伴うので、ヘリウムを使うことが多い。
水の中で電極を入れて電気を流すと電気分解により水素の気泡を発生。 この原理を利用して水の流れの可視化に使われる。
■ 樹脂
三菱化成製 MCI GEL、CHP 20P (白色微小粒子、75um〜105um)
液体の流れの可視化に利用。
■ 樹脂 中空マイクロバルーン
エクスパンセルとして知られる塩化ビニリデン/アクリロニトリルの熱膨張性中空真球粒子。
空気の流れの可視化に使われる。
平均粒径φ70um
平均密度 0.025
■ 樹脂 ナイロン SP-500L Toray
ナイロン12で作られた真球粒子。酸化チタンコーティングが施されて反射特性が向上。 水のトレーサとして使用。
比重1.08
平均粒径φ50um(5umの微粒子もある。)
ナイロン粒子は、この他にダイアミド(150um)、オルガソール(50um)などがある。
これらの粒子は、塗料のつなぎ剤として作られていて、塗装後焼き付けることにより
ナイロン粒子が溶けて膜が作られ強い塗装保護膜となる。
■ 固体 樹脂 フロービーズ(真球状粉末樹脂)
医学人工心臓の流れの可視化に使用。
水との相性良い。
低価格。
フロービーズは、真球状で流動性、分散性に優れている。
塗料の艶消し、接着剤、インキの改質剤、ゴムのはく離剤として使われているものを流用している。
平均粒子6、12、10、15、180、360、600、850um
密度0.918 - 0.958
材質:高密度ポリエチレン、着色も可能。
■ ガラス グラスバブルズ(Glass Bubbles)(=マイクロバルーン)
ガラス製中空バブルで粒径は約177um。
塩の粒子の1/4程度。
比重が0.15(g/cc)。
色は白色。
塗料のつなぎ材として開発された。
用途は爆薬のスラリー、接着剤のパテ、補修パテなど。
熱については600℃まで安定。
エンジンの吸気、排気の流れの可視化に利用。
光源はアルゴンレーザ4W。
1000コマ/秒程度まで撮影可能。
■ 固体 プラスチック 液晶ギャップスペーサー
液晶に使われているスペーサをトレーサとして利用。
液晶のスペーサーはセル・ギャップを一定に保つために重要。
粒子径は、5ミクロン。
材料はプラスチックやシリカが使われている。
粒径精度が厳しいので高価。
■ ホコリ
空気の流れの可視化に利用。
学術的には使われないが、レーザシートを当てると可視化される。
通常の撮影ではよく見えるが高速度カメラには反射輝度がたらないため写らないことが多い。
■ 発泡スチロール
簡単なトレーサ。
細かいものは入手しづらい。
静電気を持つので静電除去処理をして使う必要あり。
空気や水面の流れの可視化に利用。
■ タバコの煙/線香の煙
簡単なトレーサ。
空気の流れの可視化に利用。
タバコの煙の粒子は細かいので、拡散してしまうと写らない。
■ 蛍光粒子
ポリスチレン真球粒子に蛍光染料を染み込ませた粒子。
水の流れの可視化に使用。
平均粒径: 200-400um。
比重: 1.03
■ 蛍光剤 ローダミン
レーザ励起蛍光法(LIF)蛍光剤ローダミンB(Rhodamine)。
アルコールに混ぜて使う。0.3mg/リットル。
色素レーザの色素として使われる。
製造元 Kodak
■ 蛍光色素 エオシンY(eosin yellowish, eosin Y ws、iC20H6Br4Na2O)
YAGレーザの第二高調波532nm用のトレーサで黄色の蛍光を発する。
水溶性。
インジェクタなどの連続噴霧されるノズルから出る液滴の噴霧状況をYAG単発レーザを使って可視化する目的に使用。
蛍光剤エオシンYを10g/リットルの割合で溶解。
蛍光剤を入れることにより、液滴によって多重散乱した光の影響を除去することができる。
すなわち、多重散乱した光は緑色で、本来のレーザシートは黄色になるためバンドパスフィルタを用いると光の分離が良好になる。
■ 液体 ケトン
燃料噴霧の可視化に使用。
ケトンを燃料に添加。
燃焼場に紫外レーザを照射してケトン分子を励起。
λ=400nm近辺の青色発光を拾って撮影するLIF(Laser Induced Fluorescence = レーザ励起蛍光法)。
銅蒸気レーザを使った10mJ/パルス、1KHz、λ=255nm。
■ 蛍光 2,3ブタンジオン
LIF燃料蛍光剤。ガソリン燃料の可視化に使用。
燃料は、ガソリンそのものではなく、ガソリンの沸点に近い2,2,4-トリメチルペンタン(沸点99℃)を使用。
トレーサは、燃料と沸点の近い2,3ブタンジオン(沸点87℃)を使う。
混入体積割合は2%。蛍光波長はλ503nm。
レーザは、KrFエキシマレーザを使用。
■ 金属 アルミ粉
一番簡単なトレーサ。
水の流れの可視化に利用。
水にアルミ粉を混ぜて撮影する。
古くからある手法でライトシートを用いずそのままフィルムカメラや映画カメラで撮影していた。
■ 金属 微小球状粒子
Micro Spherical Feather
材質は酸化シリコン(SiO2)。この材質をφ5.5umのサイズにし、形状も中空にして球状にさせている。
従来のExpancelのφ20umに比べ格段に小さい。
高温に耐え、球状であるため反射特性がよく、中空・球状であるため軽い。
また非常に微小なのが特徴。
バーナー火炎(furnace)に入れてPIVを行っている。
問題点は5.5umと小さいため撮影装置の解像力が要求されること。
■ 金属 シリコンカーバイド、二酸化チタニウム
燃焼用の火炎トレーサとして使用。
■ 金属 硫化亜鉛粒子
医学分野の動脈の流れの可視化に利用。曲がった血管の流れがどのように流れていくかの可視化に実績。
その他、剪断応力の影響の検証にも使用。
Nd:YAGレーザ + 3倍高調波、10MW、10nsの強い光をトレーサに照射。
紫外光により燐光を発する。発光寿命は1.1秒。
蛍光硫化亜鉛粒子径: 15um。
比重4.1g/cc(水より重い)。
蛍光は微弱であるためI.I.を使用。
■ 金属 酸化チタン(.5um)白色顔料
液膜の可視化。
酸化チタン(.5um)は白色顔料。